2013 Fiscal Year Annual Research Report
近藤系が示す部分無秩序に伴う新奇な磁気・電荷秩序形成と磁気伝導現象の理論的研究
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12J09153
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
速水 賢 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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| Keywords | 部分無秩序 / 電荷秩序 / 幾何的フラストレーション / 遍歴電子系 / トロイダル秩序 / 磁気伝導現象 / 反対称スピン軌道相互作用 |
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| Research Abstract |
研究代表者は、幾何学的フラストレーションの下で発現する新奇物性のひとつとして、部分無秩序状態と呼ばれる磁気秩序状態を研究してきた。本年度は部分無秩序状態における量子揺らぎの影響を明らかにすること、また現実の物質において観測されているスピン構造からどのような物性が発現しうるかを明らかにすることの2点を目標に研究を行った。まず前者に関しては、三角格子上の周期的アンダーソン模型を考え、変分モンテカルロ法、動的平均場近似という2つの手法を用いることにより、部分無秩序状態における量子揺らぎの効果を調べた。その結果、部分無秩序状態はハーフフィリング近傍において安定的に存在することを明らかにした。また、ハートリー・フォック近似による基底状態相図と比較を行うことにより、部分無秩序状態における電子相関の役割を明らかにした。後者に関しては、部分無秩序を示すUNi4Bを対象として、この物質で観測されている渦状の磁気構造からどのような物性が期待されるかを理論的に調べた。まず、この渦状の磁気構造がトロイダル秩序と呼ばれる磁気秩序状態と関係付けられることを指摘した。トロイダル秩序はトロイダルモーメントが自発的に周期的に整列した状態であり、電気磁気効果や非相反方向二色性起源となることから、基礎物理からだけでなく、応用の観点からも注目されているものである。そこで、研究代表者はこのようなトロイダル秩序の下での電子状態、磁気伝導現象、電気磁気効果についての解析を行い、トロイダル秩序を有する系においては、磁場下で異方的なホール伝導度が有限になること, また、電流を印加する方向によって、系の磁化やトロイダルモーメントを制御することが可能であることを示した。さらに、部分無秩序状態とこのような渦巻き磁気構造が共存した状態が幅広いパラメタ領域によって発現することを平均場近似の範囲内で明らかにした。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画の通り、部分無秩序に対する変分モンテカルロ計算、および動的平均場計算を行うことにより、部分無秩序状態における電子相関の影響を調べることができただけではなく、ディラック電子を伴う多重Q磁気秩序やトロイダル秩序といった新奇な磁気秩序状態が発現することを明らかにし、これらの秩序相の電子状態、安定性、輸送現象を解析し、部分無秩序状態との関連性を議諭することができたため。
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| Strategy for Future Research Activity |
本年度は、これまでの2年間で得られた知見を生かして、幾何学的フラストレーションが遍歴電子系の物性に与える影響を解析計算、およびモンテカルロ・シミュレーションを用いて明らかにする。特に部分無秩序状態とトロイダル秩序や高次の磁気多極子秩序などの隠れた秩序との関係性を議論する予定である。また、これらの秩序が共存するときに現れる特異な磁気輸送現象や電気磁気効果を計算することにより、これらの系に特有な物性を解明することを目標とする。また、これまでの2年間で得られた結果を積極的に国内・国外の学会・研究会等で成果発表するとともに、論文に取りまとめていく予定である。
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Research Products
(12 results)
