2012 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性材料を利用した細胞パターニング技術の開発と肝細胞精密共培養への応用
Project/Area Number |
12J09156
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
古賀 晴香 北九州市立大学, 国際環境工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 細胞パターニング / カーボンナノチューブ / アガロースゲル / 近赤外線 |
Research Abstract |
既存のパターニング技術では実現できなかった、自由、かつ段階的な細胞パターニング技術として近赤外線応答能を有する「カーボンナノチューブ(CNT)複合アガロースゲル」を開発した。まず、ハイドロゲルとして、アガロース、寒天、カラギーナン、ジェランガムについて、最適なゲルを検討した。結果、CNTの分散性やハンドリングの点から、2%の低融点アガロースが適していることがわかった。次に、CNTを複合することで、ゲル強度・細胞接着性・ゾル化温度の変化がないか評価した。結果、細胞接着性・ゾル化温度の変化はなかったが、ゲル強度が増加することが明らかになり、長期の培養にも安定している可能性が示された。パターニング培養では、目的に応じてフレキシブルにパターンサイズが制御出来ることが望ましい。そこで、様々なパターンサイズ制御パラメーターを検討した結果、対物レンズ・CNT濃度・NIR強度・ゲル厚みに依存して、パターンのサイズを容易に変化出来ることを示した。また、本ゲルと、NIR照射によって形成したパターンに株細胞(HepG2細胞、3T3細胞、HeLa細胞)を播種すると、形成したパターンに応じた細胞パターンを形成することを確認した。これらの結果から、CNT複合アガロースゲルは自由、かつ段階的なパターニング技術へ応用することが期待できる。さらに、この技術を用いることによって、3次元的な組織体の形成や細胞の遊走方向の制御にも応用できる可能性を示すことが出来、今後は、本技術のより幅広いアプリケーションへの応用も試みる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CNT複合アガロースゲルの温度特性、光応答性、ゲル強度などの物性と共に、細胞を用いた評価を行い、細胞パターニング基板として応用可能なことを示すことが出来た。これらの実施項目は当初の計画通りであり、本研究目的の第1段階をクリアした。
|
Strategy for Future Research Activity |
CNT複合アガロースゲルの細胞パターニング基板としての物性評価、細胞パターニングへ応用できることを示したことから、まずはラット肝細胞のみでパターング培養を行い、ハンドリングや肝細胞の機能発現の点から本技術の有効性を実証する。さらに、2次元的な細胞パターニング技術以外の応用についても検討し、さらなる本技術のバイオアプリケーションとしての可能性を見出す。 また、光熱交換材料としてCNTより分散性・生体適合性の高い金ナノロッドに注目し、上記の検討と並行して金ナノロッドを用いてさらなる本技術の改善も試みていく。
|
Research Products
(8 results)