2012 Fiscal Year Annual Research Report
BIMを用いた街区・建築設計におけるパッシブデザインツールの開発
Project/Area Number |
12J09196
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河合 英徳 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | パッシブデザイン / BIM / 3D-CAD / 設計支援ツール / 建物熱負荷計算 / 屋外熱環境 / ダイレクトゲインシステム / 数値シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は市街地の住宅におけるパッシブデザインを想定し,その性能予測を3D-CAD上で行うためのツールを開発するために屋内外の伝熱モデルのプリ処理システムの開発とパッシブデザインを想定した建物の室内における熱・空気の循環の予測・評価手法の開発に取り組んだ。 まず,前者に関して,パッシブデザインの性能予測のための既往の数値解析モデルに関する調査と,汎用CADにおける標準的なモデリングに関するCADベンダーへの聞き取り調査を行った。これらの調査により,CADモデルと数値解析の空間形態の取り扱いの間にみられる乖離点と数値解析に必要なパラメータを整理した。特に本研究では建物熱負荷計算等のマクロモデルに着目し,3D-CAD上での壁のオブジェクトを建物熱負荷計算のためのモデルに変換し,室間と壁の隣接関係を取得するアルゴリズムを構築した。また,室ごとに発熱,空調のスケジュールを設定するためのデータベースを構築し,これらの設定をCADのオブジェクトに属性情報として入力するためのダイヤログ形式のGUIを整備した。 一方で,後者に関して,パッシブデザインの代表的な手法であるダイレクトゲインシステムに着目し,隣棟建物や樹木による日射遮蔽の影響を考慮しながら開口部や蓄熱部位の配置を検討するための数値解析手法を開発した。本年度開発した手法では,既往の屋外熱収支計算と多数室熱負荷計算の連成手法のうち,室内に透過する日射の取り扱いを改良したことから,本手法で生じる誤差要因として,屋内外の放射解析における空間分解能が解析結果に及ぼす影響を確認した。構築したツールの有用性を示すため,樹木による日射遮蔽された状況におけるダイレクトゲインシステム導入の効果や日射の照射位置を考慮した蓄熱部位の配置が有効であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は汎用CAD上で伝熱モデルを自動的に作成するためのアルゴリズムを構築し,アルゴリズム中の重要な技術的課題である室間の隣接関係を取得するためのシミュレーションプログラムの作成を完了した。また,パッシブデザインの基本的な型であるダイレクトゲインシステムの性能予測のためのアルゴリズムを構築し,完成させた。以上の点から,本研究課題に対応した設計支援ツールの開発に目途が立ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.屋内外の伝熱モデルのプリ処理システムの開発について,上下階の部屋同士の隣接関係の抽出やスキップフロアへの対応を行ったうえで,既往の3D-CAD対応熱環境シミュレータと統合する。 2.パッシブデザインを想定した建物の室内における熱・空気の循環の予測・評価手法の開発に関して,換気回路網との連成によって室間の換気による熱・空気の循環を予測する。 3.開発したツールを用いたケーススタディとして,実在市街地を対象としてパッシブデザインを適用した住宅における屋内外の微気候を予測し,パッシブデザインの開口部や蓄熱部位の配置が屋内外の熱・空気の循環に及ぼす影響を明らかにする。
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