2013 Fiscal Year Annual Research Report
中質量星周りの短周期ガス惑星欠乏の解明に向けた理論的、観測的研究
Project/Area Number |
12J09296
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
國友 正信 東京工業大学, 大学院理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC1)
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Keywords | 系外惑星 / 巨大ガス惑星形成 / 原始惑星系円盤 / 分光観測 / 前主列系星進化 |
Research Abstract |
本研究課題では理論的な研究と観測的研究の2つの軸があります. まず理論研究について述べます。 理論研究では中質量星周りの原始惑星系円盤の散逸の研究を行っています. 原始惑星系円盤の散逸は中質量星周りの短周期ガス惑星の欠乏に寄与している可能性が示唆されているため重要ですが, これまで中質量星周りの円盤散逸は理論的に研究された例はわずかに一つしかありませんでした. さらにその研究では観測から示唆されている, 中質量星周りの円盤散逸が低質量星周りより早いという結果を再現出来ていません. 原始惑星系円盤は, 中心星からのX線, 紫外線による光蒸発と呼ばれる効果と粘性進化により散逸すると考えられています. 本研究ではこれまで考慮されてこなかったX線光度の時間進化を考慮しました. 中質量星ではX線光度は初期に非常に大きい一方で, 時間進化し100万年程度で小さくなります. 結果, 2太陽質量の星の周りでは低質量星よりも早く円盤が散逸する一方で, 3太陽質量以上になるとX線の減衰が早く, 円盤寿命が長くなる傾向が見られました. 円盤進化の研究に加え, 昨年度から前主系列星の進化の研究も始めました. 紙面の都合上詳細は割愛しますが, 従来考えられてきた林トラックとは違う進化を辿る条件(質量降着率, 降着物質のエントロピー等)の制約にまで至り, 現在論文にまとめているところです. 最後に「中質量星周りのガス惑星の検出」の観測的研究については, 自ら岡山天体物理観測所での共同利用観測の提案を行い, 採択されました. 2013年後期及び2014年前期にそれぞれ3夜, 10夜の割り当てをいただき, 観測を行うことができました. 本研究では2-3太陽質量の早期巨星周りに観測を行っています. 早期巨星とは主系列を離れた後赤色巨星分枝に至る前の天体のことを指します. 中質量早期巨星にはこれまで惑星が検出されておらず, 惑星の検出が必要な天体です. 観測データを解析した結果, 惑星の兆候を示す天体が複数検出されました. まだ観測数が少なく確認には至っていませんが, 二年目の目的としていた新たな系外惑星の検出が期待される結果がすでに得られています.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測的研究では二年目の計画通り惑星の検出が期待できる結果が得られているため. さらに昨年度から始めた中心星の進化のテーマも結果をまとめるにまで至った一方で, 中質量星周りのガス惑星形成の理論研究では計画していたモンテカルロ計算を進められていないため.
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Strategy for Future Research Activity |
前主系列星の進化の研究および原始惑星系円盤の散逸の研究は海外の研究者と連絡を取りながら進めていきたいと考えています. さらに観測的研究については, 引き続き当専攻の観測をされている研究室の方々と議論させていただきながら進めていきたいと考えています.
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Research Products
(7 results)