2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J09350
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 賢人 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 木質住宅 / 捩れ挙動 / 立体偏心 / 剛性偏心 / 質量偏心 |
Research Abstract |
木造住宅にとって振れ挙動は代表的な被害要因のひとつとされている。現在、木造住宅の振れ挙動に対する設計法では「動的効果」と「上下層の相互作用」が無視されている。しかし、これらを考慮しないと、多くの場合で2層偏心木質住宅の振れ挙動を危険側に評価してしまうことが指摘されている。そのため、これらを正しく評価するには2層偏心木質住宅の振動特性を適切に評価することが必要である。だが、これらを理論的に評価する方法は未だ存在しない。そのため、設計段階で個別に検討を行うには地震応答解析による検討を行わなければならないが、現状の木造住宅の設計法に比べ非常に手間がかかり時間の面や経済面でのマイナス要素が多く、適当な手段とは言えない。 そこで、本年度は矩形平面で立体剛性偏心を有する剛床2層1軸偏心木質住宅を対象とした振動台実験を行い、概ね弾性範囲と考えられる微小変形時、耐力壁が塑性化する程度の大変形時、大変形を経験した後の振れ挙動を確認した。また、昨年までに行った部分モード法を用いた剛床2層1軸偏心木質住宅の固有値解析によって明らかにした「上下層の相互作用」の影響の理論解と実験値の比較により、理論解の妥当性を確認した。 さらに、先に示した部分モード法による剛床2層1軸偏心木質住宅「上下層の相互作用」の影響の理論解の適用範囲を広げた。具体的には、昨年までは剛性偏心しか考慮できなかったが、本年度ではセットバックやオーバーハング、各層での重心位置が図心と一致しない場合など、質量偏心に対しても適用できるようになった。また、これの妥当性を地震応答解析によって確認した。 すなわち、現状では、「剛床」で「2層1軸偏心木質住宅」であれば剛性偏心と質量偏心の両方を有している場合でも、弾性時から弾塑性時の振れ挙動および「上下層の相互作用」を比較的簡易な理論で評価できるようになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画書に記載した内容に比べ、多少の研究手順の変更があったが、実験研究・解析研究ともに、概ね計画書通りに進展しているため、区分②と判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究成果では、「剛床」の場合においては多くの状況に対応できる理論が確立できた。しかし、木造住宅を対象とした場合「柔床」の場合も無視することは出来ない。そこで、来年度は「柔床」の場合にも対応できるよう、本年度までに確立した理論の拡張を行う。またこれの妥当性を解析研究により確認を進めていく。 さらに、これらの理論を活用し「動的効果」および「上下層の相互作用」を考慮した、振れ挙動に対する耐震設計法の提案を行う。
|
Research Products
(4 results)