2013 Fiscal Year Annual Research Report
Tierra型オンボードコンピュータにおけるプログラム進化手法
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12J09376
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
原田 智広 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シングルイベント効果 / 遺伝的プログラミング / Tierra / 非同期進化 |
Research Abstract |
本年度は, 本研究で提案するTierra型オンボードコンピュータ(OBC)の実用化に向け, (1)複雑なプログラムの進化, (2)進化の効率化に取り組んだ. (1)複雑なプログラムの進化に対しては, 代表的なMCUの一つであるPIC16で使用可能なアセンブリ言語プログラムの進化に取り組んだ. 具体的には, PIC16という小規模なMCUに含まれる33命令を網羅したアセンブリ言語プログラムを扱い, ループ構造や条件分岐を含む複雑なプログラムの進化に取り組み, 遺伝的プログラミング(Genetic Programming : GP)の主要な例題である関数同定問題, 及び2値分類問題に適用して有効性を検証した. また, その進化の過程について詳細に分析し, 本研究で提案する非同期な進化によって同期進化では困難な進化過程が発現することを明らかにした. (2)進化の効率化に対しては, 従来提案した非同期進化法を改良し, プログラム進化を促進する新しい非同期進化法を提案した. 具体的には, アーカイブの機構を用いて優良な個体を保持し, 更にリファレンス個体と呼ばれる優良個体との相対的な比較を通して個体を選択, 淘汰する. 提案法をPIC16のアセンブリ言語プログラム, および基本的な演算を含む遺伝的プログラミング(GP)の一般的なプログラムを扱い, GPの主要な例題である関数同定問題において有効性を検証した. さらに, 提案手法を解の評価時間にばらつきのあるGP環境に適用した. 具体的には, 解ごとに評価速度が異なる場合と解の評価が完了しないような並列分散環境を想定した実験を行い, 同期進化型GPと比較し, 提案した非同期進化法の有効性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tierra型OBCの実用化に向けて不可欠な, 実際の宇宙機に搭載されるMCUで使用可能なプログラムの進化として, PIC16で使用可能なプログラムの進化を達成した. また, 従来の進化法の問題点を改善した新しい非同期進化法を確立することができ, Tierra型OBCの実現に向けて大きく進展したといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
PICアセンブリ言語プログラムを用いて実際の宇宙開発で用いられているプログラムの進化に取り組むとともに, 実応用に近いプログラムとしてTinyH8 (62命令)で使用可能なアセンブリ言語プログラムの進化を目指す. また, GP分野の例題を中心に検証している非同期進化法に対し, GP以外の進化計算分野での検証を進めるとともに, 非同期進化が有効な並列計算環境へ展開する. さらに, 宇宙線によるエラーに対する耐性の向上に向け, 正常なプログラムが失われた際の効率的な修復法, プログラムの評価にエラーが生じる場合でも適切な進化を可能にする進化手法, およびハードウェア構成の検証を進める予定である.
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Research Products
(6 results)