2012 Fiscal Year Annual Research Report
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12J09384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 宗厳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ダイニン / 分子モーター / IFT / 繊毛 |
Research Abstract |
当該年度は、ダイニン2のin vitroでの運動活性を詳細に調べるためダイニン2の大量発現の方法を模索した。ダイニン2重鎖全長のN末に精製用のSBP-tag,解析用のSNAP-tagをつけたコンストラクト(SBP-SNAP-DHC2-full)を遺伝子導入したHEK293細胞から組換え体ダイニン2複合体を精製した場合、その収量は極めて低かった。そこで、ダイニン2重鎖のうちのモータードメインのみのコンストラクト(SBP-SNAP-DHC2-364kDa)及びN末にGST-tagを付加して人工的に二量体化したコンストラクト (SBP-SNAP-GST-DHC2-364kDa)の構築し、HEK293細胞に導入して精製を行ったところ、ダイニン2重鎖全長よりも収量が改善された。SBP-SNAP-GST-DHC2.364kDaのSNAP-tagを蛍光色素で標識して全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)で観察を行ったが、これまでのところ一分子で連続的な運動をする様子は確認されていない。生体内でダイニン2が機能する際には尾部に制御タンパク質が結合することが必要である可能性がある。 さらにダイニン2の収量を上げるため、根本的な発現系の見直しも行い、体表に多数の繊毛をもつ繊毛虫テトラヒメナ(Tetrahymena)を用いることとした。テトラヒメナは、ダイニン2研究のモデル生物としても用いられているため、ダイニン2の発現系として理想的であると考えたためである。当該年度に、GFP-tagをつけた組換え体タンパク質がテトラヒメナの繊毛内に輸送されることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)による運動観察を試みるだけでなく、ダイニン2組換え体について生化学的手法・電子顕微鏡観察などのアプローチをとった。さらに、これに留まらず豊島研でテトラヒメナへの形質転換の系も確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
テトラヒメナ用にコドンを最適化した精製用SBP-tag配列の作成を行う。ダイニン2中間軽鎖(LIC3)に精製用SBP-tagを付加しテトラヒメナに形質転換を行うことで、テトラヒメナの繊毛から大量にダイニン2を精製することを目指す。また、共精製された積荷タンパク質・制御タンパク質の同定を試みる。 また、LIC3にGFP-tagを付加することで生きたテトラヒメ繊毛内でのダイニン2のin vivoでの挙動を共焦点顕微鏡で観察するとともに、精製したダイニン2のin vitroでの挙動を全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)によって観察する。
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Research Products
(1 results)