2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J09389
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
喜多村 正仁 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゲーム理論 / シンプルゲーム / 提携 / power index / 集団意思決定 |
Research Abstract |
本研究の目的である「集団意思決定における提携影響力の比較と評価に関する理論構築および応用研究の発展」の達成のため設定した(1)から(7)の研究目標のうち、本年度は(2)および(3)の項目に取り組み、以下の3点の成果が得られた。 第一に、項目(2)に関して、CPIの公理的特徴付けを進めた。各CPIについて、いくつかの公理を満たす唯一のCPIであることを示すことができるかどうかの検討を進め、証明の筋道に目処をつけることができた。CPIの公理的特徴付けの進展は、項目(4)の方法選択指針の確立にもつながる成果である。 第二に、項目(3)に関して、relation間の整合性を明らかにした。具体的には、シンプルゲームがproperであるかにより場合を分け、desirability、blockabilityおよびviabilityのそれぞれのrelationのペアについて、不整合があるかないかについての証明を行った。 第三に、項目(3)に関して、relationとCPIの間の包含関係を明らかにした。blockability indexおよびviability indexによって提携全体の集合上に定まる大小関係は、それぞれ、blockability relationおよびviability relationを包含することを証明した。相互関係の解明は、個別の方法ごとの性質が調べられてきた既存研究に新たな視点を与える本研究独自の成果であり、選択指針の確立にもつながる。 上記3点の主たる成果に加え、項目(4)および(7)に関し、受入研究室の研究課題である実験経済学および制度設計工学について、研究室ゼミおよび書籍等による当該分野の基礎事項の修得に取り組んだ。また、実験経済学については、受入研究室が実施した経済実験に実験者側として参加し、段取りやソフトウェアの操作方法について学んだ。制度設計工学については、ゲーム理論の枠組みを、現実的な制度設計、具体的には、国債の暴落を防ぐために中央銀行による国債購入や金融当局による空売り規制をどのように実施すればよいか、に応用する研究を行い、その成果をリサーチペーパーとしてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度得られた成果は、研究計画段階での予想された研究成果の一部が高い水準で得られたものであり、次年度以降の発展につながる成果であることから、研究1年度目の達成度としては、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、研究目標の(2)に関して、CPIの公理的特徴付けの証明を完成させ、それを論文にまとめ、学術雑誌に投稿する。つぎに、(3)に関して、CPI間の相互関係の解明を進める。具体的には、blockability index、viability indexおよびblockability viability indexの間の整合性について調べる。 また、研究目標の(4)に関して、経済実験の計画を立て、準備を進める。(7)に関して、提携比較・評価理論を制度設計に応用する研究を進める。
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