2013 Fiscal Year Annual Research Report
天然・人工ハイブリッド遺伝子回路を用いた構成的制御によるiPS細胞の初期分化誘導
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12J09398
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森谷 孟史 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 合成生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的 : 合成生物学的手法により、iPS細胞の分化の比率制御を目指した人工遺伝子回路の設計原理の確立 本研究ではiPS細胞からの分化制御の第一段階として、iPS細胞からの外肺葉と中胚葉への分化の比率を制御できるための人工遺伝子回路の設計原理の確立を目的とする。合成生物学的手法では数理モデルの構築、シミュレーション、機能既知の遺伝子からなる人工遺伝子回路の設計を行うことにより、細胞に所望の挙動を行うことができる。今年度に研究実施者が見出した人工遺伝子回路の設計原理は、iPS細胞研究の枠を超え、様々な種類の細胞に対応する基礎原理になると考えられ、とり急いで研究をまとめている最中である。 ホニュウ細胞では既存の合成生物学的手法で用いられる大腸菌よりも生育が遅く、1細胞ごとのノイズが大きくなっている。そのため分化比率制御を行うためには、既存の人工遺伝子回路よりも正確な数理モデル構築が必要となる。平成25年度にはその効果として人工遺伝子回路設計に必須なレポーター遺伝子が数理モデル上に組み込まれていないという問題を発見した。シミュレーションにはMATLAB付属の決定論シミュレーションだけでなく、C言語による確率論シミュレーションの実験系を確立し、決定論・確率論の両シミュレーションにより計算機実験を行った。 レポーター遺伝子が人工遺伝子回路の制御遺伝子に与える影響として、 (1)レポーター遺伝子のプロモーターがDNA結合サイトとして制御遺伝子のプロモーターとの間で制御遺伝子群を奪い合う効果 (2)レポーター遺伝子のタンパク質と制御遺伝子のタンパク質がタンパク質分解酵素を奪い合う効果を見出した。そして数理モデル、シミュレーションの成果を取りまとめ、投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度に見出した新たな人工遺伝子回路の設計原理は科学的に重要な知見である。そのため、急いでまとめる必要がある。そして設計原理を立証するための、数理モデルの構築・シミュレーションは順当に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に見出した新たな人工遺伝子回路の設計原理は科学的に重要な知見である。そのため、急いでまとめる必要がある。また生物実験における実証によりその設計原理が実際の生物系で行われていることを示す必要がある。
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