2013 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー宇宙電子・ガンマ線観測による近傍加速源・暗黒物質の研究
Project/Area Number |
12J09410
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤池 陽水 東京大学, 宇宙線研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 宇宙線電子 / ガンマ線 / 宇宙線加速・伝播 / シミュレーション計算 / 国際宇宙ステーション / 加速器実験 / 暗黒物質 / カロリメータ |
Research Abstract |
本研究は高エネルギー宇宙線電子、ガンマ線の観測を通じて、地球近傍の宇宙線加速源、及び暗黒物質の探索を行うことが目的である。このため、国際宇宙ステーションにおける高エネルギー宇宙線観測実験CALET (CALorimetric Electron Telescope)実験を進めており、本研究では特に、加速器実験やシミュレーション計算を通じて、検出器の性能最適化、精度検証を行っている。本年度は、ガンマ線に対する観測性能と、シミュレーション計算の精度検証を目的とした加速器ビーム実験のデータ解析を中心的に行った。 ガンマ線は宇宙線の加速と密接な関係があり、加速現場の様子を反映したエネルギースペクトルを生成するほか、暗黒物質の対消滅・崩壊により生成される可能性が理論的に指摘されており、高エネルギー領域の観測が重要になっている。本研究では、CALETがガンマ線に対して有する有効面積や角度分解能といった基礎的な観測性能をシミュレーション計算から導出し、ガンマ線点源に対する観測期待値と、拡散成分に対する観測期待値をそれぞれ導出した。CALETはこれまでの観測(Fermi/LAT)に比べて、高エネルギー領域に感度があり、特に拡散成分に対して一桁高いエネルギー領域の観測感度があることを示した。 また検出器の観測性能にシミュレーション計算を利用しているが、このシミュレーション計算自体の精度検証が検出器の性能評価に重要になる。そこで、CERN-SPSにおいて実施した加速器ビーム試験のデータ解析を行った。エネルギー分解能や角度分解能、検出効率等の項目について、シミュレーション計算が実験結果を精度よく再現することを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度に控えるCALETの打ち上げに向けて、観測精度の検証を進めており、加速器実験で得られたデータの評価と、実験結果をよく再現するシミュレーション計算の最適化を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られている成果を基に、最終的な観測性能の評価を実施する。特に、加速器実験で得られた最適化したシミュレーションモデルを国際宇宙ステーションにおけるシミュレーションモデルに適用し、系統誤差の少ない観測、解析の実現に向けて引き続き研究を進める。またCALETの打ち上げに向けて、科学目的に即した最適な運用計画と、データ解析の実現に向けて、準備を進める予定である。
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Research Products
(6 results)