2012 Fiscal Year Annual Research Report
ボース-アインシュタイン凝縮体の動的-静的性質の研究
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12J09416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 昌平 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ポースアインシュタイン凝縮 / 超流動 / Green関数 / 恒等式 / RPA |
Research Abstract |
極低温において現れる量子力学的多体効果、その一つの現象であるボースアインシュタイン凝縮と超流動の理解を得るという動機のもと、「ボース-アインシュタイン凝縮体の動的-静的性質の研究」と題し研究を行っている。最終的には、diagrammatic的な手法て"あるGreen関数論と、Monte Carlo法を融合した研究を行いたいので、二つの手法を同時に熟知している必要か"ある。Green関数論においては、近似的な手法の理解だけでなく、そこに現れるvertex関数間の恒等式を理解し、厳密に成り立つべき性質も把握する必要があると考える。 初年度は、このGreen関数論を用いた研究を行った。成果としては、Nepomnyashchiiらが導いたidentityを再現するシステマティックな近似法を確立した。このidentityは、破れた対称性に関するmdeだけでなく、それに直行するmodeの相関関数が赤外発散することを保証する。他の有効理論によりその性質を再現することはできていたが、もともとこのidentityが導出されていたはずのGreen関数論の枠組みの言葉に立ち返ると、この性質をシステマティックに再現する近似的理論は構築されていなかった。その点を解決した。また、bubble summationやT-matrix近似のRPAを超え、一般的なRPA理論の構築をBose系で行った。これを用い、凝縮相において温度の単調減少な音速を導いた。これまでのRPAでは音速は温度に依らないので、この問題点を解消したことになる。 本成果の重要性と意義は、厳密な恒等式を満たすなどの新しい近似理論を提案した点にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの段階で、Bose系のGreen関数論における恒等式等、Green関数論の枠内で厳密に成立する性質を抑えるという点、またそれに関し、これまでになかった近似理論の構築などを行った。初年度はこの研究に大幅に時間を取ったが、その分、多くの理解と結果が得られた。この点は大いに進展した。一方、このためにMonte Carlo法を用いた研究に関しては遅れを感じる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は、Green関数論を基にした研究を行った。2年度目は、Monte Carlo法を用いた研究を行う。本研究課題には、1粒子Green関数と2粒子Green関数のpoleをMonte Carlo法で調べるというmotivationがもともとあった。従来の研究成果と最近提案された結果で異なる結論になっていたからである。初年度において、二つの先行研究を精査し、Bose凝縮相に特有の性質により、1粒子Green関数と2粒子Green関数のpoleの一致か"本来満たすべき正しい性質であることが分かった。なので、この問題をMonte Carlo法という統計誤差を含む近似的手法で検証する必要はなくなった。初年度、参考文献の調査を行い、diffusion monte carlo法などの有用性も学んだので、2年度目からは、Monte Carlo法を用いた研究を初等的なところから行う。
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Research Products
(4 results)