2013 Fiscal Year Annual Research Report
プラズマエッチングによるナノ構造発現メカニズムの解析と応用
Project/Area Number |
12J09423
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
針谷 達 高知工科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラズマエッチング / X線反射率測定 / ダイヤモンドライクカーボン |
Research Abstract |
本年度は、基材となるDLC薄膜の特性評価・制御に関する研究を中心に行った。本研究では、C_2H_2ガスを炭素源としたRFプラズマCVD法によって合成したDLC薄膜(C_2H_2-DLC)を、ラマン分光法・FT-IR・XRR・エリプソメトリー・RBS/ERDA・SEM・TEM・ナノインデンテーション法により評価した。特に極短時間放電により極薄DLC膜を作製することで、XRR法によるDLC成膜過程の分析を試みた。C_2H_2ガスによる成膜のほかに、COガスによるDLC (CO-DLC)成膜を行った。 各種手法による分析の結果、本研究で使用しているC_2H_2-DLC膜は、硬さ21GPa、屈折率2.30、水素含有量27atm%であった。極薄DLC膜のXRR分析から、プラズマCVD法によるDLC膜の形成過程において、成膜の極初期から2nm程度の最表面層が存在することが示された。また、Si基板とDLC層の間に形成された界面層は、放電開始から4ms程度の極短期間に形成されることが明らかとなった。 COガスを用いて作製したDLC薄膜は、硬さ15Gpa、屈折率2.06、水素含有量4atm%であった。また、酸素を20atm%程度含んでいた。ラマン分光法による分析の結果、C_2H_2-DLCに比べCO-DLCは膜内にグラファイト構造を多数含んだ膜であることが明らかとなった。CO-DLC膜は、高い絶縁性を示すC_2H_2-DLCとは異なった電気特性を示した。膜内にわずかに含まれた水素は、C_2H_2-DLC膜の作製と同一チャンバーを使用しているために混入したと考えられる。FT-IRによる分析から、膜内酸素の一部はCと結合した状態であることが確認され、また、CO_2ガスとして膜内に取り込まれている可能性が考えられる。 極薄DLC膜の分析から、DLC膜初期の成膜過程が明らかとなり、最表面層の存在が確認された。最表面層の存在は、DLC膜の電気特性評価等に影響を及ぼしている可能性があり、最表面層除去前後のDLC膜の特性変化が興味深い。CO-DLC膜は、機械的強度を有した導電性膜として期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プラズマCVD法により作製したDLC薄膜の特性を、各種手法により分析し明らかとした。プラズマエッチングによりナノ構造化したDLCの応用に必要な物性等を得ることができた。さらに、COガスを用いて作製した新たなDLC薄膜を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの研究から得られているプラズマエッチングによるDLCのナノ構造化モデルを用いて、DLCナノ構造応用に最適なサンプルの作製を目指し、本年度に得られたDLC薄膜の特性とナノ構造化後の特性の比較を行う予定である。 上記に加え、新たに得られたCOガスを用いて作製したDLC薄膜の特性評価、主に電気特性についての評価を行う。
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Research Products
(17 results)