2012 Fiscal Year Annual Research Report
C-H結合活性化を用いた単純炭化水素の触媒的光カルボキシル化反応の開発
Project/Area Number |
12J09470
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
菅 拓也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科(理学系), 特別研究員(DC2)
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Keywords | C-H結合活性化 / 二酸化炭素 / ロジウム / カルボキシル化 |
Research Abstract |
炭化水素の最終酸化物である二酸化炭素を一炭素資源として利用する手法は二酸化炭素の理想的な再利用法の一つであり、持続的発展が可能な社会の実現に寄与しうる技術として近年非常に注目を集めている。 本年度は、遷移金属触媒によるC-H結合活性化反応を利用してベンゼンのような単純芳香族化合物と二酸化炭素から安息香酸誘導体を触媒的に合成する手法の開発について検討を行った。溶媒量のベンゼンに対し、1気圧の二酸化炭素雰囲気下[RhCl(dcype)12(dcype=1,2-ビス(ジシクロヘキシルポスフィノ)エタン)およびその200倍モル量のAlMe(OEt)2を作用させ、6時間85℃で加熱攪拌するとベンゼンのC-H結合カルボキシル化反応が進行し、安息香酸が触媒回転数37で得られることを見出した。また本反応の基質適用範囲について検討を行い、アルキル基が置換したベンゼン誘導体をはじめ、電子豊富・不足なベンゼン誘導体、複素芳香環、フェロセンといった様々な芳香族化合物の炭素-水素結合が本反応によりカルボキシル化できることを明らかとした。 このように配向性官能基を持たない様々な単純芳香族炭化水素を二酸化炭素と反応させ触媒的かつ高効率的にカルボキシル化を行った例はこれまでに知られておらず、したがって本研究は二酸化炭素の新規利用法の開発研究として、また遷移金属触媒による有機化合物の直接的官能基化という分野における基礎研究のひとつとして価値があるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の想定通り、アルミニウム試剤と遷移金属触媒を用いることで単純芳香族炭化水素のC-H結合カルボキシル化反応の開発に成功した。しかし基質が溶媒量必要となること、また触媒回転数が最大50程度に留まることから、本法にはまだ改善の余地が大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今回開発した反応の機構解析、および、その知見を元に触媒活性の向上を図る。 2.新たな方法論に基づくC-H結合カルボキシル化反応の開発。具体的には、現在用いているメチルアルミニウム試剤を用いない、塩基や光エネルギーによるカルボキシル化反応の実現を目指す。
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