2012 Fiscal Year Annual Research Report
多様な居住形態を受け入れる住宅再建を通した中心市街地の復興に関する研究
Project/Area Number |
12J09477
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邊 享子 東京工業大学, 大学院・社会理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 若年層の居住 / 住宅供給 / 市街地再開発 / 空き家活用 |
Research Abstract |
本年度の研究は、下記の通り行った。 [1]中心市街地活性化区域における建築物の現況調査(2012年10月い12月実施} 2010年に策定された石巻市中心市街地活性化基本計画にもとづく、中心市街地活性化区域における全建築物に対し、建物用途(住宅・店舗)、解体撤去の状況、空き家の分布等に関して、目視調査を行った。 [2]中央2丁目地区地権者に対する生活再建意向調査(2013年1月~実施中) 2013年夏より、大規模な市街地再開発事業が検討されている中央2丁目3~5番地区の全地権者を対象に、生活再建状況や今後の意向に関してヒアリング調査を行った。(現在も継続して実施中) [3]中央2丁目7・8番地区[松川横丁]における住民懇談会(2012年5・9・11月全3回実施) 本地区では、2011年6月より、生活再建と建物再建に関する提案作成のためのワークショップを継続して行っている。今年度は、懇談会という形で個別意向の整理、周辺情報の共有、再建方法の検討、意見交換を実施した。 [4]若手移住者にむけたヒアリング調査(2012年6月い2013年2月) みやぎ連携復興センターが集計した石巻市内で復興支援活動を行っている214団体の中で、石巻市の中心市街地に拠点をおく13団体のスタッフ(計44名)に向けて震災前後の居住環境の変化に関する調査を行った。調査は、1.家賃・間取りや住宅形態などの住宅内部に関する変化について2.生活アクティビティ(食事・仕事・買い物等)の街なかでの展開について3.就労環境の変化等に関してヒアリングを行った。 本年度は、仮設から公営への入居まで一本化したプログラムに捕われず、被災地における多様な住宅ニーズを捉え、具体的な民間非営利型のプログラムを提示し、現実的に具体化させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、連続的なワークショップから研究成果を具体的にプロジェクト化するという点では計画通り進行したが、学術的な研究として組み立てるまでの、組織だった調査を行うことができなかった。このため、フレームワークが不足し、普遍性のある成果として証明できなかったことに難点がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のアプローチは、住宅ニーズの多様性に関して整理することと、実際に対象者に対して住宅を供給することを通して、民間非営利による実践的な住宅供給手法に関して研究を行った。 一方で、こうしたアプローチを通して得られた調査対象者には偏りがあり、普遍的な事象として論考出来なかった点に大きな問題がある。 次年度以降は、被災地における住宅ニーズの多様性を、若年層の居住課題という切り口に絞って網羅的に研究を行うことで、現代の住宅研究のフレームワークの中に位置づけることができるとよいと考える。
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Research Products
(7 results)