2013 Fiscal Year Annual Research Report
高圧合成を用いた新規鉄系超伝導体の探索とその物性評価
Project/Area Number |
12J09508
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村場 善行 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 鉄系超伝導体 / 高圧合成 / 水素化物 / 電子構造 |
Research Abstract |
前年度得られた新規超伝導体(1)CaFe_<1-x>Co_xAsHと(2)Ca_<1-x>La_xFeAsHについて論文にまとめ、それぞれ、(1)PRB, (2)PSJ (editor's choice)に掲載された。 (1)では1111型CaFeAsHの電子構造とCoドープで誘起された超伝導物性について考察した。DFT計算によって、CaFeAsFはLnFeAsOと類似した2次元的なフェルミ面を持つが、CaFeAsHはこれらの2次元的なフェルミ面に加え、3次元的なホール面を持つ事が分かった。この3次元的なバンドは、水素の1s軌道がヒ素の4p軌道との間に弱い共有結合を作り、間接的に鉄の3dバンドを変調させたために生じたものである。しかし、Coドープ時の超伝導特性は、最高T_Cおよび超伝導が生じるCo濃度ドーム幅ともに、CaFe_<1-x>Co_xAsFと酷似していた。これは3次元的なホールフェルミ面と電子面間のネスティング条件が悪いため、電子構造の違いが磁気ゆらぎの発生やそれを媒介する超伝導の特性に殆ど影響を与えないと説明された。 (2)では、La^<3+>イオンをCa^<2+>サイトに置換することにより、CaFeAsHへの間接電子ドーピングを試み、超伝導の発現を見出した結果について記した。LnFeAsOへ間接電子ドーピングする際に、H-はO^<2->サイトを50%以上置換することができる。また、水素化ランタノイド(LnH_2-3)は1111系のブロック層と同じ蛍石型の結晶構造を持つ。これらの事実から、Ca^<2+>サイトをLa^<3+>で置換することで、CaFeAsHへの間接電子ドーピングが可能ではないかと考えた。そこで本研究ではLaドープCaFeAsHの高圧合成を試み、x=0.3までの範囲でCa_<i-x>La_xFeAsHの合成に成功した。その結果、x=0.2において最高47Kの超伝導を見出した。 本研究の結果、直接および間接電子ドーピング間のT_c比は122系、CaH-1111、Ln-1111系の順で大きくなることが明らかとなった。これは各系のFermi面が上記の順で二次元的になることを反映している。よって、本研究から鉄系超伝導体においては、異なるドーピング法によって誘起される超伝導特性が電子構造の次元性を強く反映すると結論した。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(6 results)