2012 Fiscal Year Annual Research Report
超高効率太陽電池に向けたビスマスサーファクタントと希釈ビスマスIII-V族混晶の研究
Project/Area Number |
12J09525
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
冬木 琢真 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 希釈ビスマスIII-V族半導体 / GaAsBi / 分子線エピタキシー法 / ホール効果測定 / サーファクタント効果 / 界面準位 / アドミタンス法 |
Research Abstract |
本研究では、希釈ビスマスIII-V族半導体GaAsBiを用いて高効率な多接合太陽電池を実現することを最終目的としている。 分子線エピタキシー法を用いてGaAsBi結晶を成長する際には、400℃以下という低温成長が必要になる。通常、低温成長の半導体結晶には多量の結晶欠陥が導入され、移動度や発光特性などの劣化が懸念される。当該年度は、ホール効果測定を用いてGaAsBi結晶の正孔移動度を評価した。本研究において、成長温度と成長時のAsおよびBiフラックス量などの成長条件を最適化することで、Bi原子が持つサーファクタント効果を最大限に発揮させた。成長条件を最適化した1.2eVの禁制帯幅を有するGaAsBi結晶において電子および正孔移動度の大幅な劣化は見られず、GaAsと同程度の高い移動度が得られた。低温成長にも関わらず、成長条件を最適化し、Bi原子が持つサーファクタント効果を最大限に発揮することで、移動度の劣化が無い高品質なGaAsBi結晶が得られることが明確になった。 次に、多接合型太陽電池に必要不可欠なGaAs/GaAsBiヘテロ界面の電気的特性を評価した。多量の界面準位の存在は素子の特性を大幅に劣化させる原因となる。分子線エピタキシー法を用いてGaAs/p-GaAsBiヘテロ構造を成長し、アドミタンス法によってGaAs/GaAsBiヘテロ界面の界面準位密度が8×10^<11>cm^<-2>eV^<-1>であることを明らかにした。さらに、GaAsとGaAsBiの成長表面の電子構造を考慮し、GaAs層とGaAsBi層の間に、Bi含有率を徐々に変化させた層を導入することで、界面準位密度を半減させることに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成長条件を丹念に最適化することで、当初の予定通り、キャリア移動度の観点からBi原子が持つサーファクタント効果を実証し、GaAsと同程度のキャリア移動度を有する高品質なGaAsBi結晶が得られるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究から明らかにした最適な条件を用いて成長した高品質なGaAsBr結晶の光吸収特性を測定する。 光吸収特性の結果を基に、GaAs_<1-x>Bi_x太陽電池の構造を設計し、分子線エピタキシー装置を用いてGaAs1覗Bi,太陽電池を製作する。製作したGaAs_<1-x>Bi_x太陽電池の電流電圧特性の温度依存性を測定する。
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Research Products
(5 results)