2012 Fiscal Year Annual Research Report
シクロファン骨格の新規構築法を基盤とした生理活性天然物の合成研究
Project/Area Number |
12J09526
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
百井 雄一 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | haouamine B / 全合成 / Friedel-Crafts反応 / McMurryカップリング / アザパラシクロファン |
Research Abstract |
有用な薬理活性を示す天然物の中には、強く歪んだシクロファン骨格を有するものが多く知られている。しかし、天然からの供給量が少ないことや、歪んだ骨格を構築するためには多段階を要し、大量供給が困難であることなどからシクロファンの一般的な合成法の確立が強く望まれている。本年度は、haouamine Bの合成研究を行い、全合成を達成し、絶対立体配置を含む全構造を決定できた。 最近、Traunerらは、Zubiaらにより当初提出されたhaouamine Bの構造が誤りであることを示唆し、新たに構造を提唱している。申請者は既に、Zubiaらにより当初提出されたhaouamine Bの全合成を達成している。そこで、確立した合成経路に従いTraunerらにより新たに提唱された構造の合成を行った。すなわち、光学活性スルフィニルイミンとグリコラートを用いたジアステレオ選択的Mannich反応により、β-アミノ酸誘導体を単一の異性体として得た。β-ラクタムの形成とGrignard反応剤の求核付加を含む数工程の変換により、第三級ナルコールへと導いた。分子内Friedel-Crafts反応を検討した結果、芳香環上にTIPSオキシ基を有するメシラートを用いた際に、良好な収率でインデノβ-ラクタムが得られることがわかった。その後、分子内McMurryカップリング反応により、インデノジヒドロピリドンへと誘導し、Baranらの手法を参考に、新たに提唱されたhaouamine Bの全合成を達成した。合成したhaouamine Bの全てのヒドロキシ基をアセチル化した化合物と、天然物から誘導されたペンタアセチル体とのスペクトルデータおよび旋光度を比較したところ、きわめて良い一致を示したことからhaouamine Bの平面構造、絶対立体配置を証明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Traunerらにより新たに提唱されたhaouamineBの合成研究を行い、分子内Friedel-Crafts反応および分子内McMurryカップリングを鍵工程として全合成を達成した。これにより、haouamineBの絶対立体配置を含む全構造を決定することができた。また、本合成経路の確立により、アザパラシクロファン骨格構築法を検討するために必要な合成中間体の供給が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、η6アレーン金属錯体を利用する歪んだ芳香環の構築法を新たに開発し、haouamineBの大量合成を視野に入れた短工程化を行う。すなわち、合成中間体に対し、金属カルボニル錯体を作用させ、η6アレーン金属錯体へと導く。その後、分子内からの求核付加反応と続く芳香環化により、アザパラシクロファン骨格を直接的に構築する。また、確立した構築法を応用し、メタシクロファンを含む12'員環とオキサゾールおよびインドールをそれぞれ2つずつ有する12員環が縮環した、高度に歪んだ構造を有する海洋アルカロイドdiazonamideAの合成研究を行う。
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Research Products
(4 results)