2012 Fiscal Year Annual Research Report
原口から脊索を生み出した進化過程のChIP-seq法を用いた解析
Project/Area Number |
12J09531
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
安岡 有理 沖縄科学技術大学院大学, マリンゲノミクスユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脊索 / 原口 / 進化 / 発生 / 転写制御 / brachyury / ChIP-seq / RNA-seq |
Research Abstract |
1)レポーター解析 Xenopus tropicalisの実験系を新たに所属研究室に立ち上げ、まずはbrachyuryおよびXenopus特異的に倍加したbrachyury2の発現パターンを、3'UTR領域に対するプローブを用いた全胚in situ hybridizationによって詳細に検討した。その結果、brachyuryは主に後方中胚葉、尾芽領域で発現し、brachyury2は主に脊索領域で発現することを見出した。そこで、Xenopus胚におけるI-SceIメガヌクレアーゼを用いたトランスジェニックレポーター解析により、brachyuryおよびbrachyury2の周辺ゲノム配列から選んだエンハンサー候補配列の活性を調べた結果、脊索エンハンサー活性を示す領域をいくつか同定した。 2)遺伝子発現解析 コユビミドリイシサンゴの初期胚からプラヌラ幼生、ポリプにわたって、brachyuryの発現パターンを全胚in situ hybridizationで調べたところ、brachyuryは初期原腸胚から原口唇領域で発現を開始し、その発現はポリプまで口唇領域に維持されることを見出した。これは、同じ刺胞動物のイソギンチャクと同様に、サンゴでもbrachyuryが真正後生動物共通の発現パターンをもつことを示している。 4)抗体の作成および検討 Xenopus、ホヤ、サンゴのbrachyuryに対する抗体作製のため、T-boxよりC末端側領域すべてをGSTに結合させた融合コンストラクトを作成し、大腸菌においてタンパク質の発現を確認した。そして、そのコンストラクトを抗原に用いた抗体作製を外注した。 抗TLE抗体(脊椎動物のTLEホモログTLE1,TLE2,TLE3,TLE4すべてを認識する汎用性の高い抗体)が他の動物のTLEにも交叉するのかを検討したところ、ホヤ、イソギンチャクのTLEにも反応することをウエスタンブロッティングにより確認した。これにより、抗TLE抗体が全動物でシス制御領域の同定に使える可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
抗brachyury抗体作製用の抗原コンストラクトの確認はできたが、抗体はまだ完成していない。Xenopusにおけるbrachyuryおよびbrachyury2の脊索エンハンサーは一部見つかったものの、まだ完全には同定できていない。サンゴで新たな知見は得られたが、ナメクジウオやギボシムシのChIP-seq,RNA-seqがまだ実行に移せていない。
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Strategy for Future Research Activity |
脊索エンハンサーをゲノム全体から同定するために、Xenopus tropicalis尾芽胚を尾芽、頭部、胴部背側、胴部腹側などに切り分けて、p300、TLE、CTCFといった転写制御因子に対する抗体でChIP-seq実験を行う。その上で、レポーター解析によってエンハンサー活性を検討する。その際、扱いが簡単なXenopus laevis胚を用いることも検討する。brachyuryの機能を詳細に検討するために、機能阻害実験を各動物種で行い、RNA-seq解析を行う。抗brachyury抗体は完成し次第順次品質を確認し、ChIP-seq解析を行う。ナメクジウオのサンプリングおよび機能阻害実験のため、台湾アカデミアシニカのJr-Kai Sky Yu氏の元で出張実験を行うことも検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Massively parallel regulation of head and non-head genes by Otx2, Lim1 and Gsc underlies the evolution of the head organizer in the chordate2012
Author(s)
Yuuri Yasuoka, Yutaka Suzuki, Shuji Takahashi, Norihiro Sudou, Yoshikazu Haramoto, Yukiko Tandou, Kaoru Kubokawa, Ken W. Cho, Makoto Asashima, Sumio Sugano, Masanori Taira
Organizer
第45回日本発生生物学会・第64回日本細胞生物学会合同大会
Place of Presentation
神戸、神戸国際会議場
Year and Date
20120528-20120531
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