2013 Fiscal Year Annual Research Report
原口から脊索を生み出した進化過程のChIP-seq法を用いた解析
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12J09531
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
安岡 有理 沖縄科学技術大学院大学, マリンゲノミクスユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | 脊索 / 原口 / 進化 / 発生 / 転写制御 / brachyury / ChIP-seq / RNA-seq |
Research Abstract |
1)レポーター解析 Xenopus胚におけるl-Scelメガヌクレアーゼを用いたトランスジェニックレポーター解析により、Xenopus特異的な二つのbraehyuryパラログ遺伝子brachyury(主に尾芽に発現)およびbrachyury2(主に脊索に発現)の周辺ゲノム配列から選んだエンハンサー候補配列の活性を調べた。その結果、Xenopus(両生類?)の系統でbrachyury遺伝子が倍化した際、脊索エンハンサーもそのまま倍化したが、そのうち一つ(brachyury)は周辺に脊索サイレンサーを獲得し、脊索での発現が抑制されるとともに、尾芽での発現が強化され、尾芽と脊索で機能分担が行われるようになったことが示唆された。 2)機能阻害胚を用いたBrachyuryの機能解析 XenDopus胚およびサンゴ胚にアンチセンスモルフォリノオリゴ(MO)を顕微注入し、機能解析を試みた。Xenopus胚を用いた機能阻害実験では、Brachyury、Brachyury2の両方を同時に機能阻害することで、強い中胚葉形成阻害の表現型が得られた。一方、Brachyury2単独の機能阻害胚でのみ、中軸から瘤状に膨らんだ脊索マーカー遺伝子の発現が見られた。これらの結果は、Brachyury2が脊索組織の正常な形態形成(脊索細胞の整列)に特化した役割を担っていることを示唆している。サンゴ胚を用いたBrachyuryの機能阻害実験では、原腸胚前期および後期のBrachyury機能阻害胚とコントロール胚からRNAを抽出し、RNA-seq解析を行った。その結果、Brachyuryが原口唇において細胞の分化を制御していることが示唆された。 3)抗体の作成および検討 Xenopus Brachyury2およびホヤBrachyuryの抗原精製と、ウサギへの免疫、および抗体精製を外注し、それぞれを認識する抗体が得られた。しかし特異性が低かったため、さらなる抗体精製が必要となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Xenopusにおけるbrachyuryおよびbrachyury2のエンハンサー解析、および機能阻害解析によって、機能分担の一端が明らかになった。サンゴでもRNA-seqによってbrachyuryの祖先的な機能の一端が明らかになった。抗Brachyury抗体はまだ完成していないが、道筋はたった。
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Strategy for Future Research Activity |
Xenopus胚を用いたレポーター解析と機能解析を引き続き行い、二つのbrachruryによる脊索と尾芽での機能分担の分子メカニズムを明らかにする。サンゴ胚を用いた解析も引き続き行い、braehyuryの機能解析を行う。各動物種のBrachyuryに対する抗体作成は難航していたので、Xenopusとホヤに焦点を絞り、まずは抗体精製を行う。また、Xenopus胚およびホヤ胚の各ステージを集め、TLE/GrouchoのChIP-seq解析を行い、cis-regulatory module候補配列の網羅的なマッピングを行う。ホヤ胚でも、MO顕微注入による機能阻害実験を行い、RNA-seqによって下流遺伝子の解析を行う。
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Research Products
(1 results)