2012 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系アニオン応答性素子を基盤としたイオン駆動型超分子ナノ材料の機能創発
Project/Area Number |
12J09598
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
坂東 勇哉 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 特別研究員(PD)
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Keywords | 超分子集合体 / ソフトマテリアル / 液晶 / ピロール誘導体 / コラニュレン / ガラス基板 |
Research Abstract |
1.湾曲型π共役系縮環型アニオンレセプターから形成される集合体 フラーレンの部分骨格であるコラニュレンの誘導体は、結晶や中間相での湾曲構造を利用したカラム構造形成やフラーレンとの共結晶が報告されているものの、その例は少ない。そこで、周辺置換基や対カチオンに応じて積層構造の制御が可能な平面状π共役系アニオンレセプターであるジピロリルジケトンホウ素錯体に、コラニュレン部位を組み込むことで、湾曲π平面間での相互作用を機軸とした一次元状組織体(液晶、超分子ゲルなど)の形成や、電子輸送特性などの検証を行った。実際に、長鎖アルキル置換誘導体は数百nm幅のファイバー構造を基盤として超分子ゲルを形成し、バルク状態において、多様な中間相(カラムナー構造)を形成し、集合構造に対するアニオン応答性も観測された。コラニュレン導入によってπ共役系アニオンレセプターの集合化能の向上、さらに電荷輸送能の上昇(0.9×10^<-5>cm^2/V・s)を明らかにした。 2.シリル導入されたアニオンレセプターの合成とシリカ基板への修飾 レセプターにナノ粒子複合化ユニット(シリル基など)を導入することによって、レセプターを表面被覆した基板形成が可能となる。さらに、電荷種(アニオン・カチオン)との会合により、表面の極性変換や、イオンペア(塩)を修飾した基板とレセプター複合体との問でのアニオン移動による機能かが期待できる。末端オレフィンを起点としてシリル基導入することで、レセプターで修飾されたガラス基板の調整に成功した。レセプターが会合可能なアニオンであるCl^-溶液を添加したところ、吸収極大の長波長シフトが観測され、一方で嵩高いアニオンであるPF_6^-(TBA塩)では変化は観測されなかった。さらに、基板上でのCl^-との会合後、基板をジクロロメタンで洗浄することで、添加前の状態へと可逆的に変換が可能であることを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分子設計から分子間相互作用・電荷種間相互作用を適切に予測することは難しく、今回、湾曲したπ面を導入した縮環型レセプターと平面状カチオン塩との組み合わせにおいては、次元性の低い集合体を与えることが示唆され、フラーレン等との複合化も顕著には見られず、構造の精査が必要であることが分かった。またシリル基を起点とした複合化に関しては、シリル導入の方法を確立するために種々の置換基の精査が必要であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、外部刺激応答性・電荷種間の配列制御による機能創発を目的として、π共役系アニオンレセプターを基盤としたイオン性素材の周辺修飾および機能性材料との複合化を行っている。電荷種間の配列制御において、イオン性素材の構造や組み合わせの精査が必要不可欠であり、積層可能な新規π共役系カチオン種(ジチオリウムカチオンなど)を導入することで、電荷種配列制御を試みる。また、π共役系アニオンレセプターの環化やキラル側鎖導入による集合体の構造制御や、キラル光学特性などを明らかにしていく。これら新規のπ共役系レセプター分子および電荷種ユニットの基礎物性を明らかにすることで、機能性材料と複合化した際に既存にはない電荷種を基盤とした材料の創製し発展させていく。
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Research Products
(9 results)