2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J09611
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 真樹 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 対称群 / Deligneの圏 / セルラー代数 / スピン表現 |
Research Abstract |
本研究の目的は、一般線型群や対称群といった古典群の表現の為す圏の大域的な構造を調べることである。本年度の研究ではまずP.Deligneにより提唱された「非整数次数の対称群の表現圏」のスーパー化に成功した。元々のDeligneの圏が対称群の通常の線型表現の圏を補間するものであるのに対し、このスーパー化された圏は対称群のスピン表現の圏を補間するものである。これにより全ての次数における対称群のスピン表現論を同時に扱うことが可能になり、たとえばスピン表現と線型表現のテンソル積の分解係数などが次数にほとんど依存しない形で書き下せるようになった。また当該研究者により既に得られていた環積の表現圏(圏の対称積)への一般化と合わせることで、スピン表現との環積の表現圏(圏の外積)を非整数次数へと拡張できた。次に、このような表現論を起源に持つ圏の構造を調べるうち、これらのほとんどがJ.J.GrahamとG.I.Lehrerが導入したセルラー代数に類似した構造を持っていることが明らかになった。さらにセルラー代数の表現論の一般論を拡張し、このような一般化されたセルラー構造に対しても既約表現と直既約表現の分類や付随するCartan行列の計算などを行えるようにした。この一般化はセルラー代数の表現論における手法をHecke-Cliffordスーパー代数などの新たな対象に適用できるよう拡張しただけにとどまらず、Temperley-Lieb代数など既存のセルラー代数の構造論においてもより見通しの良い理解を与えるものとなった。さらに正標数の体や一般の可換環上でこれらの代数や圏を調べる上での足掛かりを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点でDeligneの圏の様々な類似の構成に成功しており、またこれらの構造を調べるにあたり、一般化されたセルラー構造の理論を確立したことで標数によらない組織的な研究が可能となっているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き圏や代数の持つセルラー構造を利用しこれらの構造の解明を行っていく。特にスーパー代数のセルラー構造において自由基底を持たない場合について、さらなる詳細な研究が必要である。また結び目理論との関わりについては、結び目多項式の圏化であるKhovanovホモロジーにあたるものの構成を目標とする。
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Research Products
(4 results)