2012 Fiscal Year Annual Research Report
含イオウ光学活性合成二重ラセン分子による固体-ゲル複合構造構築と反応制御
Project/Area Number |
12J09636
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山本 浩司 東北大学, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ヘリセン / オリゴマー / ジスルフィド結合 / 可逆的構造変化 / 二重ラセン / 金ナノ粒子 / ケイ光 |
Research Abstract |
固体表面における二重ラセン-ランダムコイル間の可逆的構造変化を達成した.ジスルフィド基を有するビス(エチニルヘリセン6量体)を直径10nmの金ナノ粒子に結合させて,金ナノ粒子上に二重ラセンを形成させた.cDおよびuv-visから担持量0.01mmol/gを見積もり,二重ラセン単分子膜が形成されたことがわかった.この金ナノ粒子上における構造変化を,CDを用いて調べた.テトラヒドロフランートルエン(1:1)混合溶媒中で加熱冷却を行うことで,二重ラセン-ランダムコイル間で可逆的に構造変化を起こした.これは熱に対して応答する固体表面である.固体表面の二重ラセンの反応性を平面と比較したところ,反応性は大きく異なった.球面よりも平面で解離反応は速く進行した.会合反応は平面ではまったく進行しなかった.平面と球面における反応性の比較に成功した.加えて,金ナノ粒子の溶液から固体表面上に金ナノ粒子単粒子膜が形成された.膜状態においても適切な溶媒蒸気に曝露することで,可逆的構造変化を起こすことができた. 金表面-ジスルフィドゲル複合体に展開した.ヘテロ二重ラセンから形成される二成分系ゲルを利用して,金表面にヘテロ二重ラセンを形成することにした.擬鏡像異性体ジスルフィドオリゴマーを混合することで,二成分系ジスルフィドゲルが得られることを確認した.このジスルフィドゲルに直径10nmの金ナノ粒子を作用させて,金ナノ粒子-ジスルフィドゲル複合体を合成した.このケイ光特性について調べたところ,複合体中において金ナノ粒子が600-800nm領域にケイ光を発することを見出した.この発光現象はゲルあるいは金ナノ粒子単独では示さない.固体状態においても同様の発光を示した.加熱冷却によってゾル-ゲル転移を起こすと450nmにおけるオリゴマーの発光と連動して変化して,金ナノ粒子は可逆的な発光と消光を示した.金ナノ粒子はケイ光を消光する性質があり,非ケイ光物質である,ジスルフィドゲルと複合化することで,金ナノ粒子をケイ光物質に転換したことになる。これは新たな発見であり,金表面-ジスルフィドゲル複合体が機能性物質の構築に有効であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
金ナノ粒子を用いることで,固体表面における二重ラセン-ランダムコイル間の可逆的構造変化について達成している.加えて,金ナノ粒子・ジスルフィドゲルの研究において,発光しないとされていた金ナノ粒子のケイ光発光を見出したことは特筆に値する,複合体が複合化前にはみられない新たな性質を示したことから,金表面・ジスルフィドゲル複合体の可能性を開拓したものである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い推進する予定である.パーフルオロオクチル基およびチオデシル基を有するジスルフィドオリゴマーを合成し,金表面に吸着させる.金表面におけるヘテロ二重ラセン形成およびゲル形成を行う.二重ラセンの二重ラセンを二成分にした場合のドメイン形成および配置制御を検討する.制御して構築した膜を内部に形成させたカラムを作成し,ロジウム触媒を担持して実際に反応を行う.加えて,金表面・ジスルフィドゲル複合体の機能についても調べる.金基板,金ナノクラスターおよび金ナノロッドといった多様な形状の金表面と複合化を行い,様々な金表面・ジスルフィドゲル複合体を合成する.ケイ光特性,粘度といったバルクの性質を調べる予定である.
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Research Products
(3 results)