2012 Fiscal Year Annual Research Report
大規模データ解析とパスウェイシミュレーションの融合による細胞システム解析の研究
Project/Area Number |
12J09639
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長谷川 嵩矩 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | データ同化 / 生体内パスウェイ解析 / 状態空間モデル / 遺伝薬理学 |
Research Abstract |
本研究の計画通り、初年度の前半は使用するデータの収集と活用できる形式への変換,各種情報科学手法の学習を中心に行った.ここで言う情報科学手法とは,時系列解析・多変量解析手法が代表として上げられる.続いて年度後半に於いては,プログラムを適用可能となったデータを用いて生体内パスウェイの解析を行った.本研究では「統計モデルとシミュレーションモデルの融合」を行うが,両者を繋ぐ情報理論の構築に際して,まず両モデルを歩み寄らせる必要があった.以下にこの問題に対する研究の実施状況を述べる. まず収集した大規模データを線形状態空間モデルによって解析することを試みた.既存の状態空間モデルはバイオロジカル・シミュレーションモデルを適切に表現出来るモデルになっていないという問題点があった為,この統計モデルを生物学に立脚し,かつシミュレーションモデルと同期し得る統計モデルへと改良することを考えた.新たに提案する統計モデルは,ミカエリス・メンテン式と呼ばれる生体内分子のkineticsを表現する数式や遺伝薬理学で使われるcompartmentモデルを参考にしており,線形時系列モデルの形として構築されている.対象とする生体内パスウェイの構造とそのパラメータの推定問題に対しては,LASSOと呼ばれる罰則付き回帰分析手法を状態空間モデルに適用する手法を開発した.提案手法を適用するデータとしては,ラット(副腎を摘出したラット)の細胞に副腎皮質ホルモンであるグルココルチコイド(メチルプレドニゾロン(合成副腎皮質ステロイド)を暴露し計測した時系列マイクロアレイデータを用いた.この結果は現在論文としてまとめており,次年度には投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り、シミュレーションモデルに対応するような生体内解析の統計モデルを提案しており、次年度には結果を発表出来ると考えている。また、新たにシミュレーション・ベースの手法も提案しており、次いでこれらを融合する手法を開発することで本研究の骨子となる部分は完了する。残り二年の研究期間でこれらの達成は可能だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今回報告した研究に加えて、現在進めているシミュレーション・ベースの解析手法を論文として発表することをまず行う。次いで、これらの架け橋となる手法の開発・提案を行う。
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Research Products
(1 results)