2013 Fiscal Year Annual Research Report
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12J09676
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
千賀 由佳子 愛媛大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プロテインキナーゼ / Ca^2/calmodulin-dependent protein kinase I / ゼブラフィッシュ / Distal-less homeobox |
Research Abstract |
Ca^<2+>/calmodulin-dependent protein kinase I (CaMKI)はCa^<2+>シグナル系で中心的な役割を果たしているSer/Thrキナーゼである。これまでに、プロテインキナーゼを網羅的に検出するマルチPK抗体を用いた発現クローニングにより、ゼブラフィッシュ72時間胚のcDNAライブラリーからCaMKIδ-L (392aa)およびCaMKIδ-S (368aa)の2種類のスプライスバリアントを取得した。さらに、両酵素とは異なる遺伝子である新規CaMKIδアイソフォーム、CaMKIδ-LL (433aa)をクローニングした。これら3つのアイソフォームの役割分担を明らかにするために、ゼブラフィッシュにおける発現時期および発現組織を調べるとともに、初期胚における遺伝子ノックダウンを行った。その結果、CaMKIδアイソフォームは胚発生段階や組織によって分布が異なっていること、正常な胚発生にはCaMKIδのキナーゼ活性が重要であることを明らかにした。 CaMKIδ-LLのノックダウン実験から、CaMKIδ-LLがヒレや軟骨の形成に関与していることが考えられた。CaMKIδ-LLの機能を探る上で、細胞内での標的分子、すなわち内在性基質を同定することは重要課題である。そこで、大腸菌ツーハイブリッド法を用いてCaMKIδ-LLの基質タンパク質の探索を行い、ターゲット候補として2種類のDistal-less homeobox (Dlx)を取得することに成功した。これまでの研究により、細胞内においてCaMKIδ-LLとDlxが核で共局在すること、およびDlxがCaMKIδ-LLにリン酸化されることを明らかにした。また、CaMKIδ-LLによるDlxのリン酸化部位も同定しており、リン酸化がDlxの転写活性にどのような影響を与えるのかを調べているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究目的である「CaMKIδの内在性基質の探索と同定」および「CaMKIδの活性制御機構」に関しての研究を行うことができた。特に活性制御機構についての研究は、昨年度にほぼすべての研究が終了し、現在論文を執筆中であり、まもなく投稿を予定している。内在性基質の探索と同定に関しても、予定より早いペースで研究が進んでおり、来年度から取り組む予定であった「CaMKIδによるリン酸化が基質タンパク質に及ぼす影響の解明」に関しての研究に着手し、進めていくことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
CaMKIδの機能を調べる上で、内在性基質を同定することは不可欠である。そこで昨年度より、大腸菌ツーハイブリッド法を用いてCaMKIδの基質タンパク質の探索を行い、2種類のターゲット分子を取得することに成功した。今年度は、CaMKIδによるDlxのリン酸化がDlxの転写活性にどのような影響を与えるのかを影響を明らかにして、新たな細胞内のシグナル伝達経路を解明していく予定である。今年度で学振特別研究員の期間が終了すること、また今年が博士課程最終学年である二とから、現在行っている研究についてまとめようと考えている。現在は2報執筆中であるが、昨年度から行っている「CaMKIδの内在性基質の探索と同定」および「CaMKIδの活性制御機構」に加え、さらに他のテーマにも取り組んでいるため、これらの研究成果についても研究データを出し、論文として発表できるようにしたいと考えている。
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Research Products
(3 results)