2013 Fiscal Year Annual Research Report
太陽光エネルギーを駆動力とする波長応答型重合触媒の開発と高分子構造制御
Project/Area Number |
12J09686
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
村田 慧 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 有機金属錯体 / イリジウム / パラジウム / ロジウム / 可視光 / 均一系光触媒 / 共重合 / メタラサイクル |
Research Abstract |
本研究では、太陽光エネルギーを触媒的有機分子変換反応へと利用可能な反応システムの構築を目指して、種々のクロモフォアを有する有機金属錯体の反応性調査、および新規な可視光吸収クロモフォアの開発を行った。本年度は、①有機及び遷移金属ユニットを組み合わせたバイクロモフォアを有する有機パラジウム錯体を用いた光触媒的重合反応の調査、②π共役系を有する有機ロジウム錯体の合成と光物性に関する研究を進めた。 ①では、ナフチル基とシクロメタル化イリジウム錯体とを組み合わせたバイクロモフオアに、架橋配位子を介して有機パラジウム錯体を連結したIr-Pd二核錯体(1)を合成し、その光触媒活性を調査した。前年度までに1は可視光照射下でスチレン基質に対し高い重合活性を示すことを明らかにしている。今年度はこの光照射のON/OFFによる反応スイッチング能を利用して、スチレンとビニルエーテル類との共重合反応制御へと展開した。1はビニルエーテル類に対し光照射条件とは無関係に重合活性を示す。そこで同共重合条件を試みたところ、光照射のON/OFFに応じて1の触媒活性が両基質の共重合とビニルエーテルの単重合との間で可逆的に切り替わることを見出した。すなわち本反応系では、光照射した間にのみビニルエーテル重合鎖にスチレンユニットを挿入するポリマー配列の制御が可能である。さらに生成する共重合体のガラス転移温度が光照射条件によって変化することも見出した。これらの成果は、遷移金属触媒による共重合反応制御に光を用いた初めての例として重要な意義を持つと考えている。 ②の研究はユリウス・マクシミリアン大学ヴュルツブルク(ドイツ)のT. B. Marder研究室に於いて遂行した。種々の有機ロジウム錯体と1,3-ブタジインとの反応を試みた結果、ローダサイクル骨格を形成する新奇な付加環化反応の開発に成功した。これらの錯体は配位子のπ共役系により可視光吸収クロモフォアとして機能することも分かった。
|
Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
|
Research Products
(6 results)