2013 Fiscal Year Annual Research Report
新しい冷却手法による極性分子の極低温新奇量子相の探索
Project/Area Number |
12J09754
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 宏平 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 極低温極性分子 / フェッシュバッハ共鳴 / 三体状態 / 非破壊測定 / 異核原子 / BEC |
Research Abstract |
今年度は、K原子とRb原子間の散乱特性について調査した。極性分子の生成において、フェッシュバッハ共鳴による相互作用の操作が重要となる。K原子とRb原子間の相互作用を操作し、二つの原子種のボーズ・アインシュタイン凝縮体(BEC)を空間的に完全に重ね合わせることで、極性分子を高効率に生成することが期待できる。しかし、フェッシュバッハ共鳴付近では、三体衝突による非弾性散乱が大きくなる可能性がある。またそれらのフェッシュバッハ共鳴付近の三体現象の物理は、三体束縛状態であるEfimov状態等が関与しており、非常に興味深いものである。特に我々が用いているような異核原子間の三体衝突の実験の報告はまだ少なく、その物理の解明には大きな意味がある。 以上の背景から、K原子とRb原子の原子数の時間、空間的な変化をPhase contrast imagingにより非破壊に測定した。この実験の解析からK-Rb間の三体ロス係数を抽出し、三体ロス係数の散乱長依存性を測定した。結果散乱長の絶対値の増加に応じて三体ロス係数が系統的に増加することを確認した。また、K-Rb間には二つの共鳴がある為、それぞれの近傍での三体ロス係数を測定した。結果二つの共鳴において、三体ロス係数の振る舞いがほとんど一致することを確認した。これは、異核原子間の三体の物理において、universalityが成り立っていることを強く示唆しており、非常に興味深い実験結果である。 以上の結果は、熱的原子集団を用いた実験であるが、前述のとおり極性分子生成においてはBECを用いることを計画している。その際、BECは熱的原子集団より非常に密度が高い為、三体ロスの大きさはより重大な問題となる。三体ロス係数の測定により、二つの原子種のBECを混合するために必要な相互散乱長0付近の三体ロス係数が十分小さくなっていることを確認し、実際にBECを十分長い時間重ね合わせることに成功した。これにより分子の生成に十分な情報を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(1 results)