Research Abstract |
初年度の計画のメインは,研究の基礎となるマルチモーダルセンシング・認識・学習・統合システムの構築を行い,ロボットに実装することであった.そこで,従来申請者が研究を行ってきた物体認識や材質認識など様々な視覚認識システムの拡張と統合を行った.この研究では,色,3次元情報,近赤外線反射強度など複数特徴量を適応的に統合することで,複雑な環境での物体及び材質の認識を実現するアルゴリズムを提案した.提案手法の評価として,ロボカップの日本及び世界大会でデモし,優勝及び準優勝を勝ち取ることができた.また,提案した視覚認識システムは学会で発表し,学術論文誌に投稿している.現在,条件付き採録となっている. ただしこの手法では,特徴の統合は行っているものの,インスタンスやカテゴリ,材質の認識は独立している.そこで,物体の階層構造をマルコフモデルを用いて確率的に表現し,各階層の認識結果の整合性を考慮することで上述の認識手法を総合的に向上させる手法を開発した,この内容に関しては国際会議で発表し,現在論文執筆中である.さらに本年度は,ローカルなセンシングに基づくロボットの行動生成を高度化する具体的な取り組みとして,環境のあいまい性を考慮した効率的なモバイルマニピュレーションの研究を行った.この研究では,ロボットの身体性と置かれた環境を考慮し,対象物の把持を行うために最適なロボットの移動位置を決定する.視覚認識により得られた物体存在確率と身体確率マップをベイズの枠組みで統合することで,ロボットの最適な移動位置を決めることができる手法となっている.この内容についても国際会議で発表を行った. また,並行してクラウド情報を利用した行動生成について検討することも本年度の目的であった.本年度は,ロボットの音声認識について,ローカル型の認識エンジンとネットワーク型音声認識エンジンを統合することで,よりロバストな音声認識システムを実現することができることを示した.これにより,ロボット対人の音声対話の質の向上や音声命令に基づくロボットの行動生成の精度が向上する.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,初年目にローカルなセンシングの開発を行う予定であった.そのためには,視覚認識システムの拡張と統合を行う必要がある.視覚認識システムの拡張と統合は計画通りに行うことができた.また,ロボットの身体性を利用したモバイルマニピュレーションの研究も行った.さらに,クラウド情報を利用したネットワークとローカル音声認識システムの統合も行った.このように,研究はおおむね順調に進展しているといえる.
|