2012 Fiscal Year Annual Research Report
現代医療における患者の良心の意義と役割-死亡判定、ワクチン、輸血の事例を中心に
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12J09815
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
加藤 穣 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 医療 / 良心 / 良心的拒否 / 脳死 / 死亡判定 / 輸血 / ワクチン / 宗教的信念 |
Research Abstract |
本研究課題「現代医療における患者の良心の意義と役割一死亡判定、ワクチン、輸血の事例を中心に」の第1年目は、研究内容におけるω理論的な取り組み:脳死に対する良心的拒否の問題について、医療における良心、宗教的信念、誠実性の役割・意義に関する理論的取り組みを行うことを予定していた。研究の進展に伴い、研究内容で言及した「医療における良心、宗教的信念、誠実性」と、(必ずしも宗教的信念に基づかない)自己決定一般の関係性という問題点が顕著に浮かび上がってきたため、これを一つの重要な切り口として本研究課題を遂行した。 より具体的には、24年度には学術論文として、下記に示したもののほか、KATO, Yutaka. "Objections to blood transfusion by Jehovah's Witnesses in Japan and a recoお8ideration of self-determination in healthcare" Journal of Pholosophy and Ethics in Health care and Medicine. Japanese Asscciation for Philosophical and Ethcal Researches in Medicine(投稿中)をそれぞれ公表(あるいは投稿)することができた。これらの中で、現代の生命倫理学の成立過程における「医療における良心、宗教的信念、誠実性」と自己決定一般の混線という、より根本的な問題をも指摘・検討することができた。 こうした24年度における活動により、Journal of Chnical Research & Bioethicsから論文の投稿依頼を受け、また、脳死判定の世界的な権威として知られる神経科医Calixto Machadoから、Cuba-VI International Sympo8ium on Brain Death and Disorders of Consciousness-Havana, December 2013への招待を受けるなど(参加を予定している)、国際的に反響があった。 また、学会発表2件を行い、アウトリーチ活動1件にたずさわった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腕の怪我、新たに担当した講義科目の負担、共著教科書の執筆等の作業等があったものの、ほぼ予定していたとおりに研究は進んでおり、公表に至っていないが公表の準備が進んでいる原稿もある。また、第2年度以降予定している研究内容による展開の見通しがより鮮明になってきたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
医療における良心的拒否の重要な対象の一つであるワクチン接種拒否にこれまで手をつけていないが、予定していたとおりこれに関する研究を開始し、それにより、現在までの研究成果に厚みを加えたいと考えている。また、これまでは主に文献資料に基づいた理論的な研究を行っていたが、今後計画されている実際の臨床場面における医療者の意識、リーズニング等の調査について、準備を開始していくことを予定している。医療における自己決定論を批判・豊饒化するという意義を本研究課題が有することが明瞭になってきたので、今後の出版物でもこの論点を明示していく。
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Research Products
(5 results)