2014 Fiscal Year Annual Research Report
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12J09838
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
青山 尚平 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 宇宙マイクロ波背景輻射(CMB) / 宇宙大規模構造 / ボルツマン方程式 / 宇宙論的線形摂動理論 / 素粒子の崩壊現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は現在の宇宙で通常の物質の5倍以上存在し、未知の素粒子である可能性が高いと考えられている暗黒物質の持ちうる性質の1つである崩壊現象に注目した。そして暗黒物質を構成する親の素粒子が、有限の質量と質量0の二種類の素粒子(娘粒子)に崩壊する現象を考えた。まず私はこの崩壊過程を表すボルツマン方程式を求めた。続いて各粒子の分布関数の線形摂動を考え、一様等方成分とそれ以外の摂動成分に分け、各々を数値的に解いた。私は、暗黒物質の寿命や質量比の値を動かすと宇宙膨張の時間発展が変化することに注目し、WMAP衛星によるCMB温度揺らぎ観測データから、寿命と質量比との間の関係に制限を与えた。次に、親粒子や娘粒子の密度ゆらぎなどの摂動量の時間発展を、光子やバリオン(通常の元素)と同時に数値計算し、CMB温度ゆらぎや物質ゆらぎの強度のスケール依存性、すなわちパワースペクトラムを求めた。その結果、寿命が宇宙年齢を越える場合でも、わずかな暗黒物質の崩壊によって物質ゆらぎのパワースペクトラムが減衰すること、この減衰による重力赤方偏移効果によって、CMB温度ゆらぎが新たに生成されることを示した。また宇宙膨張の時間発展の変化によって、CMB温度揺らぎの見かけの典型的サイズが変わることも確認した。私は、これらの効果が、質量比が小さければ小さいほど、また寿命が短ければ短いほど強く表れることを示した。また娘粒子の質量が0になる極限では、寿命は2000億年以上でなければならないことを示した。 このように本論文では、私は、暗黒物質が有限質量の娘粒子に崩壊する場合に関して、観測量にどのような影響が及ぶのかを定量的に示し、崩壊に関係するパラメターに対して制限を与えた。
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Research Progress Status |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(2 results)