2012 Fiscal Year Annual Research Report
北琉球沖縄久高島方言の総合的記述研究および音声・映像データの保存・公開
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12J09883
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
新永 悠人 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 久高島方言 |
Research Abstract |
本年度は、本研究の目的である沖縄県久高島方言の先行研究の文献整理、および、資料収集に集中した。具体的には、音韻、形態、および語彙に関する先行研究が複数の文献に散見するため、それらを整理し、当該方言に関する概要を一連のデータにまとめた。特に、本研究の眼目の一つは、自然談話のテキストデータであるが、今より一世代ほど前のテキストデータが見つかったため、現代の話者との言語変化の有無を調べることが可能になった。それらのデータをもとに、当該方言に必要な調査項目をまとめ、2013年2月12日から26日までの2週間、3月6日から27日までの3週間、現地に滞在し、フィールドワークを行い、以下のような音韻、形態、統語現象を調査した。まず、従来からその特徴的な調音を指摘されていた舌先歯音の他、軟口蓋摩擦音、唇歯破擦音など、同じ北琉球であっても奄美などにはほとんど存在しない音声が存在すること、さらに語頭において母音による解放を伴わない喉頭化鼻音が存在することを確認した。また、人称代名詞の振る舞いも、他のいくつかの方言とは異なり、特に複数形においては語形変化をせずにそれ自身で名詞句の連体節を埋めることができることなどが明らかになった。本年度は、先行研究の整理を踏まえ、具体的な現地調査を開始したばかりである。今後は、さらに調査データ、特に自然談話のデータを増やし、それらを具体的な形にまとめ、学会発表・雑誌投稿につなげることが課題である。以上が本年度の研究実績の概要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
先行研究の整理に多くの時間を費やしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現地調査を始める上での準備は十分整ったため、今後は当初の計画であった現地でのテキストデータの収集と書き起こしに本格的に専念する。前年度末の調査データと、次年度のデータをもとに、学会発表を行い、そのデータの分析をさらに洗練させる。
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