2012 Fiscal Year Annual Research Report
異世代・非血縁間シェア居住の可能性-住宅を活用したコミュニティ形成に関する考察
Project/Area Number |
12J09905
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮原 真美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 異世代 / シェア居住 / 単身者居住 / コミュニティ |
Research Abstract |
本研究は、異世代間シェア居住の可能性を、高齢者が所有する住宅を活用したコミュニティ形成の視点から、アメリカカリフォルニア州サンマテオ郡におけるホームシェア・プログラムによる異世代間シェア居住と、同エリアにおけるAccessary Dwelling Unitsを利用し住宅オーナーによって自主的に行なわれている異世代間のシェア居住を調査対象に選定し、2012年6~8月に、現地にて住宅実測調査、及び、居住者インタビュー調査を行なった。 居住者層については、自立している高齢者事例、介護・手伝いを必要とする高齢者や障害者事例、子育て世代を含む事例と、若者に限らず、そのシェア生活に多様性があることが分かった。いずれも決まったルールや、一般的な立地や間取りによって算出される家賃設定、部屋の使い方など決まりがないため、家賃設定、生活のルール作成プロセスなど、居住者自身による生活への主体的な働きかけが見られた。生活環境への主体的な関わりは、シェア開始後、煩わしさを感じることもあるかもしれないが、一緒に生活をしているという意識や他居住者への配慮に繋がりこれがアドホックであれ住まいを中心に形成される人間関係に一役買っていると考えられる。 次に、シェア居住内での人間関係の在り処については、シェア生活の中で"偶発的に起こる交流場面"に着目し、考察を進めた。生活の中での偶発的な交流(意図的に一緒に何かをしない交流)に対して、自分が思うように関われるか否か、関わり方への選択の余地の有無が、シェア生活の居心地やプライバシーとコミュニケーションとの均衡に大きく影響を与えることを示した。共有空間に居住者がいるのかいないのか"音や気配を感じられる距離"から、他の居住者が何をやっているのか"見える距離"まで、日常的にちょっとした会話をすることでお互いの生活ルーティンを知っているから計れる距離であり、それは一つ屋根の下を共有しているから可能となると考えられる。これら距離の維持を可能とする共有空間とプライベート空間をつなぐプライベート・パスの有無や、同じ場所で異なることを許容するイート・イン・スペースなど曖昧なスペースの有無が、その関わり方にバリエーションを与える要素となっていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究の目的にそって調査を行い、それらのデータを元に分析・考察を行い、以上の内容を博士論文として、まとめた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、異世代、非血縁、シェア居住、コミュニティといったキーワードを元に、アメリカ以外の国についても、事例を広げ、考察を進める.
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