2012 Fiscal Year Annual Research Report
太陽エネルギーを最大限に利用する高度な物質変換系の構築
Project/Area Number |
12J09929
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
今村 和也 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン(IV) / 太陽エネルギー / 物質変換 |
Research Abstract |
本研究では酸化チタン(IV)光触媒による"グリーンな"酸化還元反応を利用した、太陽エネルギーを最大限に利用する高度な物質変換プロセスを構築することを目的としている。報告者はこれまでに、光触媒の還元反応を積極的に検討してきた。ここに有用な酸化反応を加えることで、太陽エネルギーをより有効利用することができると考えた。有機合成における原料のほとんどは石油由来(大抵は還元体)であるため、酸化反応は最も多く利用される反応である。交付申請書の「研究実施計画」には「まず、酸化反応・還元反応それぞれで有用な化合物を得ることをめざす。還元反応系をニトロベンゼンに固定して、好適な酸化系を探索する。」と記載した。 〈具体的内容〉これに対し、芳香族ニトロ化合物の還元と第2級アルコールの酸化を同時に、かつ化学量論的に行うことに成功し、論文としてApplied camlysis B:Environmentalに掲載された。さらに酸化生成物と還元生成物が自発的に分離される系として、芳香族アルコールの単純脱水素による芳香族アルデヒドと水素の同時生成に成功し、その研究成果を第92回日本化学会春季年会で発表した。さらに論文としてApplied catalysis A:Generalに掲載された。 〈意義・重要性〉これによって、反応後に二種類の生成物(酸化生成物と還元生成物)だけ残る系を構築し、ゼロエミッションに大きく貢献できたといえる。さらに、この研究において還元反応に官能基選択性を持たせることによって高度な酸化還元系の構築に成功した。また、一つの反応系において二種類の目的生成物を得る場合、分離にエネルギーを必要としてはグリーンとは言えない。この点で水素と芳香族アルデヒドの同時生成は非常に意義のある反応系であるといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太陽光の有効利用を目的として、酸化還元同時合成を検討した。その結果、第2級アルコールからケトンへの酸化と芳香族ニトロ化合物から芳香族アミンへの還元を同時に行うことに成功した。また、二種類の生成物が自発的に分離される系として芳香族アルコールから芳香族アルデヒドへの酸化とプロトンの還元による水素の同時生成にも成功し、それぞれApplied catalysis B:EnvironmentalとApplied catalysis A:Generalに論文が掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載したように、酸化生成物と還元生成物が反応して目的生成物となるようなone-pod合成を目指す。具体的には1)ニトロベンゼンの還元とメタノールの酸化によるメチレンジアニリンの合成、2)芳香族ニトロ化合物とグリセリンの酸化によるキノリン類の合成をおこなう。
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Research Products
(3 results)