2013 Fiscal Year Annual Research Report
太陽エネルギーを最大限に利用する高度な物質変換系の構築
Project/Area Number |
12J09929
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
今村 和也 近畿大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 光触媒 / 酸化チタン(IV) / 太陽エネルギー / 物質変換 |
Research Abstract |
本研究では酸化チタン(IV)光触媒による"グリーンな"酸化還元反応を利用した、太陽エネルギーを最大限に利用する高度な物質変換プロセスを構築することを目的としている。交付申請番の「研究実施計画」には「まず、酸化反応・還元反応それぞれで有用な化合物を得ることをめざす。還元反応系をニトロベンゼンに固定して、好適な酸化系を探索する。」と記載した。報告者は前年度までに芳香族ニトロ化合物の還元と第2級アルコールの酸化同時合成と、芳香族アルコールの単純脱水素による芳香族アルデヒドと水素の同時生成に成功し、Applied catalysis B : EnvironmentalとApplied catalysis A : Generalにそれぞれ掲載された。さらに新たな還元反応としてニトリルの還元に成功した。 〈具体的内容〉前年度に発見したニトリルの還元を詳細に検討し、論文としてChemical Communicationsに投稿、インサイドカバーに採用された。また、TiO_2による光触媒反応を新たに二種類開拓した。そのひとつであるC=C二重結合の還元反応を論文としてまとめRSC Advancesにアクセプトされた。さらにTiO_2による化学選択的な還元反応に関する論文をTetrahedronに投稿し、アクセプトされている。 〈意義・重要性〉これまでTiO_2光触媒による酸化的物質変換は多く報告されてきたが、還元的物質変換は数種類しか報告されておらず、TiO_2を使用する限りこれ以上の基質拡張は不可能であると思われていた。これはTiO_2の伝導帯の電位が低いためであるが、本研究では助触媒を担持することで還元力の高い水素種を生成するという簡便な方法でこれをブレイクスルーしている。この成果は報告者が知る限り19年ぶりの新たなTiO_2光触媒還元反応であり、太陽光のエネルギーを物質変換に応用する可能性を劇的に広げたという点で意義がある。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(6 results)