2013 Fiscal Year Annual Research Report
古本州島における稜柱系細石刃石器群の形成過程の研究
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12J09992
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
夏木 大吾 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細石刃石器群 / 地城集団 / 石オネットワーク / 古本州島 / 古北海道半島 / 社会生態学 |
Research Abstract |
本年度の調査は、古本州島における稜柱系細石刃石器群の形成過程を明らかにすべく、東北日本における細石刃石器群の技術的多様性の把握、編年の構築を目的とした調査を重点的にすすめてきた。同時に細石刃技術情報の伝達にかかわる地域集団の移動領域やネットワークの在り方について、中部・関東地城を中心に検討した。 学術雑誌『古代』第135号に掲載される「中部・関東の稜柱系細石刃石器群をめぐる地域集団の移動領域と石材ネットワーク」では、細石刃石器群をめぐる地域集団の移動領域と石材ネットワークに焦点を当てて議論した。同論文では、細石刃石器群の時期における集団の規模や行動戦略の特徴を考慮し、当該期の石材需給の流れが示す意味について社会生態学的な視点から説明した。さらに、中部・関東のなかだけでなく、東北地域など他の地域との関係性についても言及した。地域集団の祉会的関係性にも焦点を当てて細石刃石器群形成過程前後を考察するという研究事例を提示できたことは大きな成果となった。 古本州島の稜柱系細石刃石器群の形成過程に関する理解を深めることを目的として北海道の旧石器時代資料の調査をおこなった。古北海道半島をめぐる旧石器時代編年を確認し、石器群の時間的変化や地域特徴を捉えたことにより、東北地域の細石刃石器群との時間的関係を考えるうえで重要な知見が得られた。また細石刃技術の変異と適応戦略の関係性を考えるうえでも重要な比較資料が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究は、東北日本と西南日本の間の編年的並行関係において未整理の部分があるために、当初の計画通りに進展しているとはいえない。しかし、西南日本と東北日本の一定の時間的範囲において地域集団間の移動領域の重複や石材ネットワークについて整理・解釈できた点は、大きな研究の進展であった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度からは古本州島における稜柱系細石刃石器群の形成のタイミングや要因について東北地域と北海道を対象に検討する。しかし、両地域の年代的並行関係を知るうえで重要な、年代測定データが不足している現状がある。そのため東北日本と北海道地域における型式学的な相互編年の構築が重要となる。そのうえで、両地域における集団の適応戦略と石器技術との関係を踏まえた、型式学的研究をすすめていく。
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[Presentation] 2013年度スラブナヤ5遺跡発掘調査報告2014
Author(s)
夏木大吾・ワシリフスキー, A. ・大貫静夫・佐藤宏之・グリシェンコ, V. ・福田正宏・熊木俊朗・國木田大・バシェンツェフ, P・モジャエス, A・森先一貴・ペレグドフ, A・役重みゆき・高鹿哲大・ルシカ, G
Organizer
北アジア調査研究報告会
Place of Presentation
札幌学院大学北海道
Year and Date
2014-03-01
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