2013 Fiscal Year Annual Research Report
日本における国有鉄道の歴史分析-貨物業務の制度設計と運営を中心に-
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12J10019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二階堂 行宣 東京大学, 社会科学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 国有鉄道 / 鉄道貨物輸送 / 運輸・交通政策 / 業務運営組織 / 官僚制 / 意思決定 / 制度設計 / オーラル・ヒストリー |
Research Abstract |
採用第2年目である2013年度は、(1)国有鉄道貨物輸送に関する研究発表および論文投稿、(2)JR各社における史料調査、(3)旧日本国有鉄道OB諸氏へのオーラル・ヒストリー、の3点を中心に研究活動を行った。 (1)1900年代~1920年代前半にかけての国鉄貨物輸送業務運営について考察を深め、鉄道国有化(1908年)以降、部内において貨物輸送業務が確立されていく過程について、①地方と中央における担当業務の差異という視点、②ライン的業務とスタッフ的業務の組織内分化という視点、③各貨物輸送担当者のキャリア形成という視点、から検討し、単著(ディスカッション・ペーパー)および関係学会における報告により公表した。その成果を記した論文2本を現在学術雑誌へ投稿中である。 (2)前年度に引き続き、JR各社および関係法人の支援の下、国鉄関係史料所蔵状況の概要を解明すべく、調査活動を継続した。今年度はJR各社およびその関連機関における調査を重点的に行い、日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)、四国旅客鉄道株式会社(JR四国)、九州旅客鉄道株式会社(JR九州)で内部資料を数多く閲覧した。旧国鉄OB所蔵の関係史料調査も並行したほか、地方に所在する国鉄OB宅への出張調査を農業史・アーカイプズ学の研究者と共同で行いその成果を現地放送メディアを通じて公開した。 (3)最高幹部クラス、および貨物担当部局内の実務者クラスを中心に、のべ40回(今年度実施分のみ)にわたるオーラル・ヒストリーを実施、その都度成果報告書を刊行した(ただし非公開のみのも含む)。具体的には、1940~80年代の国鉄業務運営・運輸政策上重要なトピック(国鉄労使関係、労働基本権問題の経過、貨物コンテナ営業開始、貨物担当部局内における運用・輸送業務の変遷、幹部人事の決定、車両設計と車両計画、国鉄改革の過程など)を中心に、本人の経歴に沿い詳細な聞き取りを行った。なお、新規候補者数名からも内諾を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
歴史研究に不可欠な部内資料の閲覧、および実務経験者との人脈形成が、JR各社および外郭団体関係者の協力によって、当初の計画以上に進展している。また、研究成果の公表については当初の計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
史料調査およびオーラル・ヒストリーを継続するとともに、研究成果の公開を進めるべく論文投稿を積極的に行い、あわせて海外における資料調査も並行させる。 なお、研究遂行上の問題点として、個人情報保護あるいは企業秘密保護の観点から、現時点では非公開にせざるを得ない資料や証言記録が存在することが挙げられる。当事者との話し合いを進め、可能な限り早期の公開を目指したい。
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Research Products
(37 results)