2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10023
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石部 正 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アルティン群 / アルティンモノイド / ディスクリミナント因子 / 語の問題 / 共役問題 / 楕円アルティン群 |
Research Abstract |
超曲面孤立特異点(X, x_0)の半普遍変形から構成したディスクリミナント因子の補集合の基本群を理解することを目標としている. (X, x_0)がADE型特異点の場合は, ADE型コクセター図形に対応した定義関係式による有限表示がなされ, その有限表示データまで込めてアルティン群と呼ばれている. そしてその有限表示を用いて, アルティン群の種々の決定問題が解かれる. (X, x_0が単純楕円型特異点の場合にこれらの結果を拡張したい. そうすることによって同時に, アルティン群の理論の一般化を行う. この場合の基本群は楕円アルティン群と呼ばれており, アルティン群の場合と異なり, 決定問題を解くために有用な有限表示は知られていない. アルティン群の一般化は不十分ながらなされており, ガーサイド群と呼ばれている. 経験から, 楕円アルティン群はガーサイド群には表示されないだろうと考えられている. またこの方向の一般化で得られる群はごく一部の例外を除いてグロモフの双曲群ではない. 非可換無限群の中で例外的によく分かるクラスのひとつになるという意味でもアルティン群の理論の一般化は重要である. 楕円アルティン群は楕円ディンキン図形に対応した有限表示がなされることが知られているが, この表示に対応させたモノイドにおいては基本元の存在と相殺性の両立性が成立しないことが筆者により示されている. そこで, 生成系の取り換えによって得られた別の表示において基本元の存在と相殺性を示す案が考えられる. それが成功すれば、自動的に共役問題の可解性以外の結果が帰結されるので, 他に何の条件があれば共役問題の可解性まで導けるかをこれまでに得られた例たちを材料に考察した. その結果、基本元全体の集合Fが或る△により単項生成されるという条件が満たされれば共役問題の可解性が導けるという予想が妥当であろうと結論した. また, ガーサイド群の共役問題の可解性の大変簡明な証明を付けることに成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アルティン群の理論の一般化のための枠組みの整備や具体例の構成, 理論進展の方向付けのための予想を立てることができたが, 一方で, 研究実施計画に書いた生成系の取り換え理論については進展がほぼ見られなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
数年前まで「標準的である」と信じられてきた楕円ディンキン図形に対応する楕円アルティン群の表示に疑義を生じさせしむ命題を筆者は示した. すなわち, その表示に対応させたモノイドは楕円アルティン群に単射に入らないことを示した. これにより, 知られている楕円アルティン群の生成系を取り換える必要が生じた. 今後は, 対応するモノイドの相殺性を示して, 種々の決定問題を解いていくことになる.
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Research Products
(6 results)