2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10067
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
角道 亮介 駒澤大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012 – 2014-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 中国 : スウェーデン : デンマーク / 殷周青銅器 / 礼制 / 青銅器銘文 / 周原遺跡 / 殷墟遺跡 / 鄭州商城 |
Research Abstract |
殷周史復元のための一環として、祖先祭祀の場で利用される器でありながら同時に政治的目的を付与された青銅彝器に注目し、王朝系青銅彝器自体が器物として受容された範囲と、王朝系青銅彝器を利用した祭祀が受容された範囲を読み解くことが本研究の目的である。上記の研究目標のもと、今年度は殷墟遺跡(河南省安陽市)、河南博物院(河南省鄭州市)、周原遺跡(陜西省岐山県)、国立極東博物館(スウェーデン・ストックホルム)、国立博物館、デザインミュージアム・デンマーク(以上デンマーク・コペンハーゲン)で青銅器の資料調査を行った。 陜西省周原遺跡では鳳雛村・強家村・荘白村などの青銅器出土地点を踏査した。各地点は有力貴族の拠所であり、このような拠所が集まって周の王都たる大型都市を構成していたと思われる。また、周原遺跡を囲っていたと想定される城壁を見学することができた。城壁遺跡の年代の判断にはさらなる調査が待たれるが、周原遺跡を周代の王都とみなすための有力な証拠となるであろう。河南省鄭州市と安陽市では殷代前期の王都である鄭州商城と、殷代後期の中心地である殷墟遺跡をまわり、青銅器の形態やその分布状況を確認した。鄭州商城では城内で広範な青銅器の分布は確認できず、青銅器は王室によってかなり厳格に管理されていたとみるべきであり、周原における状況とは異なる。殷墟遺跡の青銅器は造形の優劣と無関係に銘器を持たない例が多く、長銘に象徴される「礼制」つまり王朝的規範の制度化は、殷墟期の萌芽的段階を経て、西周期に確立したとみるべきであろう。 スウェーデン・デンマークの二カ国は20世紀初頭に多数の殷周青銅器を収集し、重要なコレクション資料も少なくない。しかし、今回の資料調査の結果、現在では両国とも殷周青銅器の研究者がおらず、今後の資料の散逸が危ぶまれる。現在の収蔵品リスト・移管先情報の作成が喫緊の課題であると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
(抄録なし)
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Research Products
(4 results)