2016 Fiscal Year Annual Research Report
事前経験に基づく脳の時間情報処理の最適化に関する研究
Project/Area Number |
12J10103
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
松崎 梢 高知工科大学, 総合研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 多感覚 / 心理物理学的実験 / fMRI(機能的磁気共鳴画像) / 認知心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究目的・概要】 本研究はヒトの中枢神経系において時間知覚に関する脳の情報処理がどのような過程で行われているのかについて,その神経機序の解明を目指してきた.時間情報処理に関連した脳領域の同定のために,心理物理学的手法とfMRIを連携させて実験を行ってきた.心理学的課題として,視聴覚の時間順序判断 (TOJ) と同時性判断 (SJ) の二種類の時間的判断課題を用いて,課題遂行中の脳活動領域を調べた. また,SJで被験者の判断が偏る現象について,これまで刺激やSOA(各課題に対する応答率が50%となる刺激時間差)の改良を行い対処してきたが,今回ハイスピードカメラを用いてMRI内でプロジェクターを通すと両刺激間にズレが生じることを見出し,そのズレを考慮してSOA間隔を再検討したことで判断の偏りを解消することができ,被験者のパフォーマンスについて精微な心理曲線を描くことができた. 【結果・考察】 脳機能統計解析ソフトのSPM12を用いて,課題に関連した脳活動部位の同定を行った.その結果,SJと比較して主に左右の後頭頂野(IPL/SPL)と運動前野(PMC),後部頭頂葉(PPC),小脳においてTOJで有意な脳活動が観察された.PPCと小脳については,さらにvoxel-wise FWEを行った結果,左のPPCと右の小脳で有意な活動がみられた.一方,TOJと比較してSJでは有意な脳活動は得られなかった.今回,活動が得られた脳領域は,TOJ,SJ共に本研究に先行して発表された触覚刺激による時間判断処理に関する共同研究で報告された脳領域と一致していた (Miyazaki et.al. 2016) .しかし,これらの脳領域は右脳でも活動がみられた.視覚刺激と聴覚刺激といったマルチモーダルな環境における時間情報処理は,モノモーダルの環境下とは異なる神経メカニズムで行われている可能性が示唆された.
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Research Progress Status |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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