2012 Fiscal Year Annual Research Report
高密度プラズマ照射‐イオンビーム解析複合装置を用いた水素同位体吸蔵量その場計測
Project/Area Number |
12J10162
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山際 正人 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 水素同位体 / イオンビーム / 水素リテンション / 核融合プラズマ |
Research Abstract |
本研究では高熱流プラズマ照射解析複合装置PS-DIBA(Plasma Surface Dynamics with Ion Beam Analysis)を開発した。本装置は、イオンビーム解析装置を組み合わせた核融合環境を模擬した高熱流プラズマ模擬試験装置であり、プラズマ照射環境下でイオンビーム解析による水素同位体吸蔵量の動的な計測が可能である。本年度においては、本装置の操作環境を整備し、熱電対を用いた空冷式試料台を導入することにより、動的環境下においてプラズマ照射中の試料温度を精度よく調節可能にした。このような動的環境下その場吸蔵量測定装置で試料温度調節を行うことが可能な装置は他にない。本装置PS-DIBAを用いて陰極の加熱試験及び重水素吸蔵量その場計測実験を行った。タングステン(W)と等方性黒鉛それぞれにおいて吸蔵量の比較を行った。試料温度依存性は両者とも同様の結果が得られたが、プラズマ照射停止後の吸蔵量の減少に関しては、Wではほとんど見られず、等方性黒鉛の方において顕著に見られる結果となった。両者の動的吸蔵量、静的吸蔵量を比較した結果、試料のNRAの飛程内の吸蔵量は時間経過とともに徐々に減少する様子が観察されている。しかもその減衰時間は等方性黒鉛の方が多いという結果から、この30分という計測時間の間においては、吸蔵量の減少が進む過渡的な状況であると考えられ、この短時間の吸蔵量計測ではWの静的吸蔵量が多くなった可能性がある。このように、ダイバータ領域プラズマ照射時の試料内部動的吸蔵量計測に初めて成功した。またTMAP7を用いたシミュレーションを行い実験結果と比較することにより拡散係数や再結合係数の見積りを行い吸蔵現象の材料依存性に関して詳しく調査した。その結果、試料固有の拡散係数、再結合係数の違いにより吸蔵の振る舞いに著しい差が生じることが判明した。本研究では、動的環境下でのPWI研究を目的とした、高熱流プラズマ照射その場計測装置PS-DIBAを開発し、ダイバータ領域で発生する水素同位体吸蔵現象について実験的に検証することが可能となった。動的吸蔵量の詳細な研究は核融合発電実現に向けて避けることの出来ないものであり、本装置による実験的計測が確立化すれば、今後のPWI研究を大きく進展させうると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Reason
平成25年度分辞退
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度分辞退
|
Research Products
(1 results)