2012 Fiscal Year Annual Research Report
CALMは細胞内輸送と白血病発症にどのように関与しているのかを解明する
Project/Area Number |
12J10187
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
鈴木 麻衣 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 小胞輸送 / EGF / 白血病 / 融合遺伝子 / NES |
Research Abstract |
CALMの機能解明及びCALM-AF10のCALM領域による白血病発症メカニズムの解明を目指し、以下の研究成果を得た。1.これまでにCALMホモ欠損マウスの赤血球系細胞及び樹立したMEF細胞においてCALMがTransferrinのエンドサイトーシスに関与し、赤血球造血に重要であることを明らかにしていた。他のクラスリン依存的にエンドサイトーシスされる因子としてEGFを検討した結果、CALMホモ欠損MEF細胞はEGFの取り込みには影響がなかったことから、リガンド-レセプター特異的にCALMが作用していることが示唆されたが、取り込まれたEGFの分解経路に障害が生じている可能性が明らかとなった。2.白血病を誘導する融合遺伝子CALM-AF10については、これまでにCALMの核外移行シグナルNESと推定される配列の変異体を作製し、CALM-AF10は大部分が細胞質に存在するのに対し、CALM-AF10のNES欠損変異体(CALMΔNES-AF10)は核に局在すること、CALMΔNES-AF10導入骨髄細胞にはCALM-AF10が有す増殖付与活性が消失していたことから、増殖付与活性にはCALMのNESが必要であることを発見していた。そこで、CALMのNES配列のみを付加したAF10を作成し(NES-AF10)、この変異体がCALM-AF10と類似の局在パターンを示したことから、CALMの機能的なNES配列を特定した。さらにNES-AF10導入骨髄細胞は増殖付与活性が認められた。そこで、CALM-AF10及びCALMΔNES-AF10、NES-AF10導入骨髄細胞をマウスに移植した結果、CALMΔNES-AF10は白血病を発症せず、CALM-AF10及びNES-AF10が白血病の発症を示したことから、白血病の誘導にCALMのNESが必要十分であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでほとんど報告されていなかった分解経路へのCALMの関与を示唆する結果が得られたこと、また融合遺伝子CALM-AF10のCALM領域の白血病発症への意義、CALM-AF10のCALMが保持するNESによる新たな白血病誘導モデルを見出したことは大きな成果だと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
CALMの小胞輸送経路の関与については、今後はさらにCALMホモ欠損MEF細胞を用いて、TransferrinやEGF等の細胞内の取り込みやその後のリサイクリングや分解経路等の小胞輸送にCALMがどのような機能を果たしているのか、その分子機序を明らかにすることを検討している。また、融合遺伝子CALM-AF10については、今回報告したCALMのNESによる新たなCALM-AF10白血病の誘導モデルを証明するために、実際に核外へ輸送されている相互作用因子等の検討等を行っていくことを考えている。
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Research Products
(6 results)