2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10249
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
藤原 克祥 麻布大学, 獣医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超低温保存 |
Research Abstract |
本研究は哺乳類卵細胞質中に不凍タンパク質をマイクロインジェクションにより直接導入することで,高い耐凍性を有する超低温保存法の開発を目的としている.さらにこの超低温保存法を用い,保存が困難とされる未受精卵を用いた超低温保存の検討を行うことにより,保存した未受精卵から体外受精および胚移植を介した産子作出を試みる. 平成24年度はマウスおよびブタ未受精卵における超低温保存を検討した.未受精卵は卵丘細胞を取り除いてから超低温保存することが一般的であり,保存後の受精能および胚発生能が低下する.そこで,卵丘細胞を除去することなく卵丘細胞卵子複合体の状態で超低温保存したところ,ICR・C57BL/6Jマウス未受精卵は高い生存性,受精能および産子への発生能を示すことを明らかにした.この方法により超低温保存したマウス未受精卵は,保存を行わない新鮮卵と比較し,同等の受精能および胚発生能を示した. ブタ未受精卵は細胞質内に存在する脂肪滴が要因となり低温に対する感受性が高く,保存後の生存性および受精能が著しく低下する.そのため,保存したブタ未受精卵からの産子作出の成功例はない.本研究では受精時に重要とされているイノシトール3リン酸受容体(IP_3R)と紡錘体に関する検討を行った.超低温保存したブタ未受精卵は新鮮卵と比較し,IP_3Rおよび紡錘体が大きく損傷していることが明らかとなり,これが受精を阻害する要因であることが示された.さらに,ガラス化保存ブタ未受精卵はカフェイン処理することにより紡錘体が維持され,受精能が改善されることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は哺乳類卵細胞質中に不凍タンパク質をマイクロインジェクションにより直接導入することで,高い耐凍性を有する超低温保存法の開発を目的としている.平成24年度は,マウスおよびブタ未受精卵における超低温保存を検討した.現在までの研究により,超低温保存したマウス未受精卵における体外受精後の個体への発生能は高い値を示し,既に実用可能なレベルに達していると考えられる.また,超低温保存したブタ未受精卵の受精率は以前までと比較し,大きく向上させることに成功した.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに,マウス,ラットおよびブタ未受精卵における超低温保存法を検討した.今後は実際に入手および作製した不凍タンパク質をマイクロインジェクションにより直接導入したマウス,ラットおよびブタ未受精卵における新規超低温保存法の開発を行う.さらに,超低温保存した未受精卵の体外受精・胚移植を行ない,産子の作出を試みる.
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Research Products
(6 results)