2012 Fiscal Year Annual Research Report
アニメーションのオルタナティヴ--非商業系アニメーションの歴史的・理論的分析
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12J10278
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
土居 伸彰 東京芸術大学, 大学院・映像研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アニメーション学 / 文化政策 / 映画学 / データベース / ポーランド:フランス:イギリス:ロシア:エストニア |
Research Abstract |
本研究は、商業アニメーションをもっぱらの対象とする既存のアニメーションをめぐる言説の状況のなかで、国営スタジオや営利を考えずに作られる個人作家の手による非商業系アニメーション作品についての研究を、実証的アプローチに基づいた歴史研究と作品・言説分析に基づく理論研究の両面から行うものである。 これまでのアニメーション研究が取り逃してきた領域についての研究を行うということは、既存の研究の傾向やそれが対象としてきた分野についての総括がまず必要となってくる。今年度の研究においては、そういった問題意識のもと、アニメーション研究に関する日本語および英語文献をリスト化して集積し、傾向やアブローチ、取り上げる対象に基づいて分類するマッピングの作業を行った。当研究の成果は、平成24年度メディア芸術情報拠点・コンソーシアム事業の一環として世に出されることで活用され、一般向けに発表された。 非商業系アニメーション作品についての実証的アプローチに基づく研究については、ポーランド、フランス、イギリス、ロシア、エストニアに赴き、国営スタジオで活躍した作家や、助成金をベースに製作を行う人々、もしくは非商業系アニメーションの研究者や映画祭のフェスティバル・ディレクターといった関係者に聞き取り調査を行うことによって、各国の歴史的状況や現状について調査を行うとともに、日本アニメーション学会の全国大会での口頭発表や、表象文化論学会の全国大会のシンポジウムおよび学会誌『表象』での特集において中心的な役割を果たすことによって、まとめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、既存のアニメーション研究およびアニメーションをめぐる言説のマッピングを行うことで本研究が占めるべき立ち位置を確認するとともに、関係者や作家への聞き取り調査や現地での資料収集を行うことで、次年度以降の研究に向けた準備を整えることができたから。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には今年度の方針の延長線上で研究を進めていく。既存のアニメーション研究の総括については、ロシア語やフランス語をはじめとした日本語・英語以外でのアニメーション研究のマッピングを進める。非商業系アニメーションの歴史および理論研究については、カナダやアメリカなど北米での状況を明らかにするために引き続き関係者や作家への聞き取り調査を行うとともに、文献調査や作品分析を通じた理論的研究もまた並行して行っていくことで、非商業系アニメーションがもつ社会的意義やその可能性についての考察を深めていく。
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Research Products
(4 results)