2013 Fiscal Year Annual Research Report
アニメーションのオルタナティヴ--非商業系アニメーションの歴史的・理論的分析
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12J10278
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
土居 伸彰 東京芸術大学, 大学院・映像研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | アニメーション学 / アメリカ / 映画学 / インディペンデント映画 / データベース |
Research Abstract |
本研究は、商業アニメーションをもっぱらの対象とする既存のアニメーションをめぐる言説の状況のなかで、国営スタジオや個人作家の手によって作られる必ずしも営利を目的とするわけではない非商業アニメーション作品についての研究を、実証的アプローチに基づいた歴史研究、関係者への聞き取り調査、そして作品・言説分析に基づく理論研究といった多面的なアプローチから行うものである。 研究初年度において、既存のアニメーション研究の傾向とそれが対象として取り上げてきたものの総括を、アニメーション研究に関する日本語および英語文献のリストを作成することで行ったが、本年度はそれの発展版として、現在、アニメーション・スタディーズにおいて最も権威ある学術雑誌Animation : An Interdisciplinary Jounnalと、日本唯一のアニメーション専門の学術誌『アニメーション研究』の掲載論文のリスト化を行うことによって行った。その成果は、平成25年度メディア芸術情報拠点・コンソーシアム事業の一環として世に出されている。 実証的アプローチに基づく研究については、これまでの日本のアニメーション研究が取りのがしてきたアメリカのインディペンデント・アニメーションについて、現地調査と関係者への聞き取りを行った。それを通じて明らかにされたアニメーションとその作り手のコミュニティの問題は、これまでの研究の蓄積も踏まえ、「夢見ること、ただそれだけを教える高畑勲の「漫画映画の志」、その着地点」(『ユリイカ』2013年12月号)として発表された。 また、日本のインディペンデント・シーンについての調査は、バーミンガムのフラットパック映画祭およびロンドンの国際交流基金における講演というかたちで発表された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、既存のアニメーション研究の状況をまとめて把握するとともに、世界各地の非商業系アニメーションについての状況を、実際に現地に赴き、関係者への聞き取り調査を行うなどして順調に調査できている。それゆえに、研究最終年度における各種発表に向けての準備は整っているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の推進方策は、現状の状況(既存のアニメーション研究のマッピング、非商業系アニメーションをめぐる状況についての現地調査、文献にあたることによる歴史・理論研究という多角的なアプローチ)をそのまま継続しながら、最終年度となる次年度は、研究成果の公表について意識的に行う方針である。そのために、学会や論文執筆にむけたスケジューリングを、これまで以上にしっかりと行っていく必要があると考えられる。
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Research Products
(2 results)