2012 Fiscal Year Annual Research Report
生体多光子励起イメージングによる関節炎・関節破壊の機序解明
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12J10335
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菊田 順一 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2012 – 2013-03-31
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Keywords | 多光子励起顕微鏡 / 生体イメージング / 関節炎 |
Research Abstract |
関節リウマチは、日本の人口の約0.5%の患者を有する最も頻度の高い自己免疫疾患の一つであり、滑膜の炎症に伴う進行性の骨破壊を生じるため、患者の運動機能が著しく制限される。そのため、骨破壊による関節機能障害の制御が、リウマチ治療の最大の課題である。関節リウマチにおける関節破壊は、関節を包む滑膜の炎症から始まり、滑膜の増殖、パンヌスの形成、骨・軟骨破壊へと進行していく。その病態形成には、破骨細胞、マクロファージ、T細胞が複雑に関与すると考えられている。しかしながら、「それぞれの細胞が、いつどのようにして関節内に遊走してきて、関節炎が発症するのか」という関節破壊に関わる細胞の遊走制御や動態については、これまでほとんど解明されていない。 そこで、本研究初年度では、関節炎・関節破壊の現場をin vivoで可視化するべく技術開発を行い、生体多光子励起イメージング系を独自に改良することで、動物の生きた関節内における生きた破骨細胞やマクロファージの遊走を経時的に観察することができる実験系を確立した。さらに、関節リウマチ治療薬の薬効評価を単一細胞レベルでリアルタイムに行うことも可能となった。本研究で確立した関節内ライブイメージング系は、今後、関節リウマチの関節炎・関節破壊における「細胞遊走」のメカニズムの解明や、「細胞遊走」を標的とした新たな関節リウマチ治療法の開発において強力な手段となり得ると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果により、従来の研究手法では困難であった生体関節内での生きた細胞の動態の可視化に成功し、平成24年度の研究計画を達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
関節リウマチの治療は、IL-6やTNFaといった炎症性サイトカインを標的とした治療薬が主流となり、「関節リウマチを早期に発見し、早期に治療を開始して関節破壊の進行を抑制する」というのが主な治療指針となっている。しかしながら、「関節破壊の進行過程において、どのタイミングで抗サイトカイン治療薬を使えばいいのか」、「抗サイトカイン治療薬が、関節炎発症過程のどの時期のどの細胞遊走に影響を及ぼしているのか」ということについては明確に分かっていない。今後、本研究で確立したイメージング系を用いて、抗サイトカイン治療が関節炎発症時の「細胞遊走」にどのような影響を及ぼすのか検討を行う。
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Research Products
(7 results)