2013 Fiscal Year Annual Research Report
P-gp阻害活性を有する高酸化度天然物の効率的全合成法の確立
Project/Area Number |
12J10348
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
轟木 秀憲 東京大学, 大学院薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 全合成 / テルペン |
Research Abstract |
4-ヒドロキシジノウォールは、三環性のジヒドロ-β-アガロフラン骨格が多数の酸素官能基によって修飾された構造を有し、また薬剤排出トランスポーターであるP-gpの阻害活性を有する。 昨年度合成を達成した、3連続四置換炭素を有する4環性ジエンに対しオゾン分解を行い、電子密度の差を利用した化学選択的なオゾン分解が可能である事を見出した。しかし、本オゾン分解および鍵反応であるDiels-Alder反応において重要である電子吸引基は後に除去する必要があり、現在用いているカルボキシメチル基はその除去が困難であると考えた。 そこで、より除去が容易なスルホニル基を電子吸引基として用いることとした。具体的には、Diels-Alder反応のジエノフィルを昨年度のプロピオール酸メチルからエチニル-p-トリルスルホンへと変更してその後の合成を行った。結果、反応条件の微調整を行うのみで先の基質と同様にオゾン分解まで達成することができた。またこのスルホニル基は、予期した通り後の還元条件にて容易に除去する事ができた。ここから1炭素を除去し酸化段階の調整を行うことで、4-ヒドロキシジノウォールに対応する全ての酸素官能基を正しい立体化学で有するジヒドロ-β-アガロフラン骨格へと導いた。最後に、これまで報告例のなかった本骨格上の多数のヒドロキシ基のアシル化について検討を行った。結果、完全な位置選択性で計6個のアシル基を導入する方法論を確立することができ、市販の化合物から計38工程にて4-ヒドロキシジノウォールの世界初の全合成を達成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存の類縁体合成研究では未解決であった、多数のヒドロキシ基のアシル化の位置選択性の問題を解決し、本研究計画の最も重要なマイルストーンである4-ヒドロキシジノウォールの全合成を達成することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度達成した全合成において得られた知見を基盤として、当初の予定通り類縁体合成を行う予定である。 具体的には、骨格上に多数存在するアシル基が生理活性発現に重要であるとの報告に基づき、アシル化パターンの異なる類縁体の合成と構造活性相関研究を行う。
|
Research Products
(3 results)