2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
包 明久 東京大学, 大学院理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | X線結晶構造解析 / RNAi |
Research Abstract |
本研究課題はRnaseIIIタンパク質であるDicerについて、昆虫Dicer-1、Dicer-2、またはヒトDicerの全長またはhelicaseドメインの結晶構造解析を行うことで、RNAi経路における小分子RNA生合成過程の分子基盤を明らかにすることを目的としている。 前年度までにコクヌストモドキTribolium castaneumのDicer-1、Dicer-2について、SUMOタグを用いた発現・精製系の確立し、結晶化スクリーニングをおこなったが結晶は得られていなかった。 本年度では、引き続き得られたタンパク質を用いた結晶化スクリーニングをおこない、結晶を得てX線回折データを収集し構造解析を行うことを目標としていた。しかしながら、RNAやATPなどとの共結晶化を試みるなど数多くの結晶条件を試行したものの、現在までに目的の結晶は得られていない。また、前年度に構築した昆虫細胞によるDicer全長の発現系についてコンストラクトの改良を行い、ネッタイシマカAedes aegypti及びショウジョウバエDrosophila melanogasterのDicer-1、Dicer-2について結晶化に挑戦しているが、結晶は得られなかった。 今後も引き続きコンストラクトの改良と結晶化スクリーニングを進めていくが、同時に電子顕微鏡を用いた構造解析を行うことを検討している。Dicerは単体で約200 kD以上の巨大なタンパク質であり、これは電子顕微鏡による単粒子解析を行うことが可能な大きさである。近年では技術の進歩により電子顕微鏡を用いてタンパク質を原子分解能で構造解析した報告が増加しており、Dicerについてもこれが可能であるか検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験計画では本年度の研究においてDicerの結晶を得て構造解析を行うこととしていたが、現在までに結晶を得られていない状況であり、達成度としてはやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
Dicerは全長で200kDa以上、helicaseドメインのみでも50kDaを超える大きなタンパク質であり、プロテアーゼによる限定分解の結果などから不安定なタンパク質であることがわかっている。現在までに数多くの結晶化条件をスクリーニングしてきたが、いずれの条件でもタンパク質の結晶は得られなかった。 そこで、クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析をおこなうことによってDicer全長の高分解能な構造を決定することを検討している。共同研究先と打ち合わせを始めている状況であるが、実際に単粒子解析が可能であるかどうか、まずは比較的低分解能の構造を得られるかどうか試してから原子分解能レベルの解析にまで挑戦する予定である。
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