2012 Fiscal Year Annual Research Report
テレビ・アーカイブを活用したテレビ番組研究-日米安保を事例として-
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12J10395
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松山 秀明 東京大学, 大学院・情報学環・学際情報学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メディア / テレビジョン / 番組 / アーカイブ |
Research Abstract |
平成24年度は、研究の目的と研究実施計画に基づき、以下の研究活動を行った。 1、研究発表 研究の目的である「テレビ・アーカイブを活用したテレビ番組研究」について、国内外で、3つの研究成果について発表を行った。日本マス・コミュニケーション学会(2012年6月2日、宮崎公立大学)、表象文化論学会(2012年7月8日、東京大学)、Media Histories/Media Theories&East Asia(2013年2月8日、UCバークレー)。 2、資料収集 NHK放送文化研究所とともに、テレビ60周年プロジェクトに参画した。これは、2013年にテレビジョン開始から60年を迎えるのに合わせ、テレビ番組以外の放送関係資料の収集とそれらを統合的に検索することのできるデモサイトの構築するものである。ここにおいて研究代表者は、「テレビ番組研究」以外の放送関係資料の収集、沖縄に関するテレビ番組の収集などを行った。 3、先行研究調査 テレビ研究を本格的に概観した研究はまだないため、研究代表者は、日本と海外におけるテレビ研究の変遷についての文献調査を重点的に行った。その結果、1960年代の日本において「放送学」構想が構築されていたことが明らかにされ、おもにNHK放送文化研究所と東京大学新聞研究所において隆盛していった日本のテレビ研究が、戦後、アメリカからのマスコミュニケーション概念の影響により、テレビの効果研究に傾斜していった過程が詳細に明らかになった。これらから、今後、テレビ番組そのものを研究することの意義を明確にした。 4、その他の活動 平成24年度の研究実施計画と直接関わるものではなかったが、東日本大震災の発生に伴う新しいプロジェクト「東日本大震災とメディア」プロジェクトに参画した。このなかで研究代表者は、テレビが映した被災地の「地域偏在」に関する研究を行なった。対象は異なるが、NIIのテレビアーカイブ・システムを用いた本研究は、研究実施計画の延長として位置づけることができる。この研究により、被災地によってテレビ報道に過密と過疎があることが視覚的に明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、多くの関連資料についてのリスト化、番組の視聴、先行研究等の文献調査を中心的に行なった。一部、予定していたアーカイブ施設でのテレビ番組の収集・視聴、及びそれに関する研究発表を行なえていないところがあるが、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まだ訪問することの出来ていない国外のアーカイブ施設へ訪問したいと考えている。具体的には、UCLA Film & Television Archives(アメリカ)、INA(フランス)への訪問を予定している。実際に現地に出向きながら、関連するテレビ番組についての収集・視聴、文献調査、リスト化の作業を行なっていく。 また、研究計画の変更点としては、「日米安保」に関するさまざまなテレビ番組という研究対象を、もう少し広げ、日本とアメリカとの対応のなかでの「日本のテレビ文化/テレビ史」を考察していきたいと考えている。そのためには、現地のアーキビストとの対話のなかで、対象への変更に対応していきたいと考えている。
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Research Products
(5 results)