2012 Fiscal Year Annual Research Report
光合成タンパク質に結合するクロロフィルの構造変換反応解析と光合成代謝研究への展開
Project/Area Number |
12J10419
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
定岡 香菜 近畿大学, 総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 光合成 / クロロフィル / 光捕集タンパク質 |
Research Abstract |
本年度は、研究ターゲットに設定している高等植物の光捕集アンテナ色素タンパク質LHC2、およびそれらに含まれるクロロフィルbとそれらを誘導体化したホルミル基を有するクロロフィル類に関する研究を精力的に推進した。本研究の目的であるLHC2に結合しているクロロフィルbのホルミル基の反応性の解明とそれに伴うタンパク質の構造・機能変化の動的挙動の解析のため、まず、高等植物からショ糖密度勾配遠心法を用いてLHC2を単離精製しその色素組成、タンパク質組成、分光特性に関する情報をSDS-PAGEやUV-Visスペクトル分析を用いることにより正確に実験的に求めた。さらに酸性条件下に伴う中心金属の脱離反応を誘起することで、LHC2のようなタンパク質との複合体として存在している2種類のクロロフィル色素の化学反応性に関する検討を行った。また、クロロフィル環に直結したホルミル基がクロロフィル類の機能に及ぼす影響やLHC2への再構成に対する影響を調べるために、クロロフィルbを出発原料とし有機合成的にホルミル基を2個導入したクロロフィル誘導体の合成に成功し、その物性を精密に測定した。 これらの研究成果は、筆頭著者としての査読付原著論文が現在投稿中であるとともに、共著者として実験・データ解析・論文執筆で大きく寄与した研究成果を査読付原著論文3報で発表した。あわせて、国際会議での口頭発表1件を含む学会発表4件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では高等植物の主要な光捕集タンパク質であるLHC2を研究対象とし、結合しているクロロフィルbのホルミル基の反応性の解明とそれに伴うタンパク質の構造・機能変化の動的挙動の解析を目的としている。この目的の達成に必要な精密な反応系の構築やホルミル基をもつクロロフィルの反応性の解析を行い、次年度の研究をすみやかに推進することが可能なことからおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目に確立した分析方法を基盤として、再構成LHC2に結合するクロロフィルb誘導体のホルミル基の反応性について解析する。単量体レベルでの反応性を制御した誘導体や、ホルミル基を2つ有するクロロフィルb誘導体を常法にしたがってLHC2アポタンパク質に再構成し、それらのホルミル基の還元反応特性とタンパク質の動的挙動を詳細に解析する。
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Research Products
(7 results)