2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12J10489
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
難波 陽介 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員-DC2
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Keywords | キスペプチン / ニューロキニンB / 性腺刺激ホルモン / 卵胞発育 / 排卵 / ウシ |
Research Abstract |
近年、哺乳類の視床下部において、神経ペプチド「キスペプチン」および「ニューロキニンB(NKB)」が性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)および性腺刺激ホルモン(GTH)分泌の制御に重要であることが分かってきた。本研究は、ウシの繁殖機能制御機構におけるこれら神経ペプチドの役割を解明するとともに、これら神経ペプチドをウシの新たな繁殖機能制御技術に応用することを目的とした。本年度は、キスペプチンの末梢投与がウシの卵胞成熟を促し、発情および排卵のタイミングを早めるか否かを明らかにすること、および、NKBの末梢持続投与がGTH分泌および卵胞発育を促すか否かを明らかにすることを目的とした。実験1では、卵胞期ウシにおいて、キスペプチンを静脈内投与し、GTH分泌、卵胞発育動態および発情行動におよぼす効果を調べた。その結果、キスペプチンの静脈内投与後、GTH分泌が持続的に亢進し、発情行動および排卵のタイミングが早まった。これらのことから、キスペプチンの末梢投与が、GnRHおよびGTH分泌を介して卵胞の成熟を促し、発情および排卵のタイミングを早めたことが考えられた。実験2では、初期黄体期ウシにおいて、NKB受容体選択的アゴニストであるsenktideを末梢持続投与し、GTH分泌および卵胞発育動態を調べた。その結果、senktideの持続投与開始後、GTH分泌が持続的に亢進し、卵胞直径が増加した。これらのことから、senktideはGnRHパルスジェネレーターを活性化し、GnRHおよびGTH分泌を介して卵胞発育を促したことが考えられた。これらの結果から、キスペプチンおよびNKBはGnRH/GTHを介して卵胞成熟を促し、ウシの発情および排卵をコントロールする製剤として応用できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、卵胞期ウシにおけるキスペプチンの末梢投与が卵胞成熟を促進し、発情および排卵を促すことを明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
卵胞期ウシにおけるキスペプチン末梢投与実験および黄体期初期ウシにおけるニューロキニンB末梢持続等実験の例数を足すとともに、卵胞期ウシにおけるニューロキニンB末梢投与による卵胞成熟促進作用、および、発情および排卵におよぼす効果を検討する。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] COMPARISON OF THE EFFICACY OF INTRAVENOUS TREATMENT OF KISSPEPTIN AND GNRH ON OVARIAN ACTIVITY IN JAPANESE BLACK BEEF COWS2012
Author(s)
Naniwa, Y.; Nakataukasa, K.; Setauda, S.; Oishi, S.; Fujii, N.3; Wakabayashi, Y.; Okamura, H.; Uenoyama, Y.; Tsukamura, H.; Maeda, K.-I.; Mateuda, F.; Ohkura, S.
Organizer
2nd World Conference on Kisapeptin Signaling in the Brain
Place of Presentation
東京
Year and Date
20121107-20121108
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[Presentation] Peripheral administration of kisspeptin analog, TAK-683, stimulates follicular development and luteinizing hormone secretion in Japanese Black beef cows2012
Author(s)
難波陽介, 中務桂佑, 末富祐太, 松田二子, 松井久典, 日下雅美, 大瀧徹也, 田中知己, 岡村裕昭, 大蔵聡
Organizer
日本繁殖生物学会
Place of Presentation
茨城
Year and Date
2012-09-07