2012 Fiscal Year Annual Research Report
生物時計とA-to-Iエディティングの新しい連関とリズミックな転写後制御の重要性
Project/Area Number |
12J10494
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺嶋 秀騎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | サーカディアンリズム / 概日時計 / CLOCK / Bmall / トランスクリプトーム / KLF / ADAR2 / A-to-Iエディティング |
Research Abstract |
哺乳類の概日時計においては、転写因子であるCLOCKとBMAL1がDNA上の時計シスエレメントE-boxに約一日周期で結合と解離を繰り返し、多様な遺伝子の転写リズムを誘起する。当研究室においては、CLOCKが結合するDNA領域を網羅的に同定し、さらにトランスクリプトーム解析が行われた。この先行研究のデータを基に本研究では、概日制御を受ける新規遺伝子群を同定し、概日時計に関与する新規の分子機構の解明を目的とした。 本年度はまず、転写因子であるKLFファミリー群のmRNA量がマウス肝臓において日周変動していることをqRT-PCRにより確認した。そこで、これら遺伝子群の近傍に存在するE-box周辺配列をluciferase発現vectorに組み込んだ。これらのレポーターを用いてluciferase assayを行い、KLF遺伝子群がCLOCK-BMALlによる発現制御を受けることを示した。 また申請者は、A-to-I RNAエディティング酵素をコードするAdar2のイントロン領域にCLOCKがリズミックに結合していることを見出した。さらに、Adar2 mRNA量がマウス肝臓において日周変動していることも確認できたので、Adar2のリズミックな発現がCLOCK-BMAL1により制御されているか否かを検証した。具体的には、時計遺伝子群の発現リズムが失われているBMAL1ノックアウトマウスの肝臓において、Adar2のmRNA発現リズムが消失していることを示した。さらに、エディティング制御を受ける遺伝子群の転写産物において、エディティング効率が概日変動していることを示した。これらの結果により、概日時計による新規の出力機構の一端を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載したとおり、概日制御を受ける新規の遺伝子群としてKLFファミリーを同定した。また、BMAL1ノックアウトマウスにおいてAdar2の発現リズムが消失していることを示した。また、既知エディティング部位におけるエディティング効率が日周変動していることを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
ADAR2がリズミックに発現することにより、エディティング活性が概日変動しているのか確認するために、ADAR2のノックアウトマウスを購入する。そのマウス肝臓の転写産物中におけるエディティング活性が概日変動しているか否かを検証する。 また、ADAR2が概日時計の発振機構そのものを制御している可能性について調べるために、ADAR2ノックアウトマウスを用いて、輪回し行動リズム解析などの表現型解析を行う。
|
Research Products
(1 results)